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生薬の話

不老長寿の妙薬「奇応丸(きおうがん)」

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春まだ浅いのですが、それでもわずかに陽気が増してまいりました。急峻な山懐に抱かれた木曽で暮らしておりますと、季節の移り変わりのかすかな気配までもが伝わってきて、自然と共に生きていることを実感し、自然との一体感をあじわうことが多いような気がします。

今回は、当社が昭和20年代から製造し、2012年12月(平成24年)の出荷を最後に、一旦製造を中止している「奇応丸(きおうがん)」について記します。薬効として優れているのはもとより、時代を経て飲み継がれてきた薬であり、その歴史的な背景も合わせお伝えいたします。

「奇応丸」の歴史的背景

街道文化と豊富な森林と水に恵まれた木曽地域は、北部と南部では1ヶ月近くの気候の差があり、また標高差のある複雑な地形から多様な植物が育ち、古くから生薬の宝庫として知られていました。
江戸時代に木曽を管轄していた尾張藩は、豊富な薬草に着目し、毎年相場を定めて採取を奨励しました。
古くは1639年(寛永16年)に尾張藩が江戸へ薬草を送った記録があります。1740年(元文5年)に本草学者三村森軒(ほんぞうがくしゃ みむらしんけん)が木曽に調査に入り『信州木曽山草木伊呂波寄(しんしゅうきそさんそうもくいろはよせ)』を著しました。1810年(文化7年)には本草学者水谷豊文(ほんぞうがくしゃみずたにほうぶん)が木曽薬草を調査し『木曽採薬記(きそさいやくき)』を著しています。
このように、木曽は尾張本草学の強い影響を受けるとともに、収益源として薬草の採取と生薬を用いた薬の製造販売に力を入れていました。

木曽代官山村氏の後ろ盾のもとに、家臣の高瀬家が製造していたのが「奇応丸」です。高瀬家の資料には、1673~80年(延宝年間)から熊の膽(くまのきも)(ユウタン)を原料の一つとして作っていたとあります。

古くは貴族の不老長寿の薬といわれ、室町時代に、東大寺の太鼓の内側から発見されたという説と、天正年間に京都の医者 施薬院全宗(やくいんぜんそう)が伝えたとする説があるようです。
高瀬家18代当主 故高瀬新助氏によると、7代当主の高瀬金右衛門が江戸に出府したときに製法を習って作り始め、9代の高瀬新助文左衛門(1813年(文化10年)没)が、売薬行商鑑札を得て、家伝薬として製造していた「奇応丸」を行商できるようにし全国に広めたそうです。
ユウタン・ジャコウ・ニンジン・ジンコウで作られた当時の「奇応丸」は舶来の生薬を配合した高貴薬として珍重され、その薬効から全国に広まった木曽の和漢薬(※木曽だけでなく、大本の京都のほうでも作っていたのではないかと思うのですが)なのです。

当社における「奇応丸」の製造

時代を経て、当社は、昭和20年代から、当社は高瀬家の「奇応丸」の処方に、百草と同じベルベリンが有効成分のオウレン末や、ゴオウ等を配合し「日野奇応丸」として製造してきました。製造は当社のみだったのですが、冒頭にも記述した通り、2012年12月(平成24年)の出荷を最後に、一旦製造を中止しています。しかし薬効として優れているのはもとより、時代を経て飲み継がれてきた薬なので、この動植物性和漢薬の「日野奇応丸」の成分や効能について記します。

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「日野奇応丸」の薬効

「日野奇応丸」は、高瀬家の処方をもとに、ユウタン・ジャコウ・ゴオウ・ニンジン、オウレン末、ジンコウ末、リュウノウ(d-ボルネオール)を配合した五疳薬(ごかんやく)で、ひきつけ、夜泣き、吐乳、めまいに効果があります。
五疳薬とは、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、肺臓の5つのバランスが崩れ、気分が高ぶったり、不安定になったり、気力が低下したときに服用していただく鎮静薬です。乳幼児はちょっとしたことで心身のバランスを崩し、夜中に泣き叫んだり、お腹をこわしたり、風邪を引いたりしますが、昔は、乳幼児の夜泣きや癇癪は、体の中に虫がいるためと考えられ「疳の虫(かんのむし)」と呼ばれていました。「奇応丸」は穏やかな作用の小粒の丸剤なので、飲ませやすく「疳の虫」のときに多く用いられました。
乳幼児だけでなく、大人でも日常生活の中で、ちょっとしたことで気分が高ぶったり、不安定になったりして、気力が低下し、めまいや胃の不快感を感ずることがありますが、そのようなときに年齢、男女を問わずに服用していただける薬です。
たとえば、検診では異常はなかったがなんとなく動悸や息切れがする、季節的要因で元気が出なくめまいがする、外出先で足取りが重くため息をついてしまう、残業や睡眠不足やストレスで胸の辺りがすっきりしない、風邪を引きそうな感じがするときなどに用います。
「日野奇応丸」には、苦味健胃作用、強心強壮作用、鎮静作用のある生薬を配合しています。常備薬としてお備えいただくとよい薬です。

参考:高瀬家資料館


日野製薬オンラインショップ

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