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薬草の花

サラシナショウマ(晒菜升麻)【2月】

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※サラシナショウマ(晒菜升麻)は八~九月に花を咲かせます。


涼風にゆれる総状花序

(写真①:ビン洗いのブラシのような姿をした小花の集合体。チョウもよくやってくる)


草丈は一五〇㌢ほどになる大型の植物で、夏から初秋にかけて白い総状花序を咲かせ、湿った半日陰の深山の林下で群生しているのを見かける。花の付きがよいためよく目立つ。丈の高い花茎の先に細長い花序がつき、涼風に吹かれてゆったり揺れる花姿は夾やかである。ただし、花序は少したわんだものが多く、しかも伸びる方向がさまざまで、ややまとまりかないのが欠点である。ところで、サラシナショウマの花序と同形の植物を探すとすれば、それはバラ科の樹木のウワミズザクラだろう。

筆者は勝手にこの形状を「ビン洗いプラシ」様と呼んでいるか、賛同者も多いと思う。


和名は「晒(さら)し菜升麻(なしょうま)」で、若葉を茹でて水で晒して食べたことに由来する。ただし、サラシナショウマやニリンソウなどのキンポウゲ科の植物には、トリテルペノイドやアルカロイドが含まれており、山菜として食べるのはあまりすすめられない。茹でて水に晒して有毒成分を洗い流して、ようやく食べられるから「晒し菜」と呼ばれたもので、そのようにして利用してきた先人たちの知恵に驚く。

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(写真②:発達した根茎は升麻と呼ばれる)

根茎は不規則な塊状で横にのび、細い根を多数出す。根茎を「升麻」と呼び、漢方で解熱、解毒薬として、煎じ液を内服して身熱、無汗、咽喉腫などに用いる。しかし、成分に有毒のトリテルペノイド、およびトリテルペノイドサポニンを含むため、煎液をうがい薬としたり、布にしみこませて冷湿布剤として用いる方が安全である。


Cimicifuga simplex

キンポウゲ科サラシナショウマ属
別 名●ヤサイショウマ、クロショウマ
生薬名●升麻(しょうま)
【ミニ図鑑】同属のオオバショウマや、同じキンポウゲ科のレンゲショウマ、ユキノシタ科のトリアシショウマなど、「〇〇ショウマ」と名付けられた植物は多い。多くは葉の形が本種に似ている。

▶花期 八~九月


crude_drug_220201_sarashinasyoma_3.jpg(写真③:ユキノシタ科のトリアシショウマ。茎は鳥の足に、葉はショウマに似ている)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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