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薬草の花

クズ(葛)【1月】

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※クズ(葛)は八~九月に花を咲かせます。


和菓子の材料や民間薬、広く利用

(写真①:夏の後半、つるに沿って高さ10センチ以上もある鮮やかな花序を付ける)


秋の七草のひとつであるクズは、長々とつるを伸ばし、そこに大きな葉をつけ、日当たりのよい林縁を覆い尽くす。どこにも生えている植物ではあるが、写真のようなとても美しい花を咲かせる。さらに、クズは和菓子の材料として、また民間薬の原料としてもよく知られている。

マメ科のクズは、空気中の窒素を固定する根粒菌と共生するため荒地でもよく繁茂し、根茎も太く長く成長する。その繁殖力の強さから林業家には嫌われるが、反面、最近になって砂漠緑化の救世主として注目されているそうだ。

クズの根茎の皮を乾燥させたものが、生薬「葛根(かっこん)」である。葛根の成分には、フラボノイド、トリテルペノイドなどが知られている。葛根に麻黄(まおう)と桂枝(けいし)を配合した「葛根湯(かっこんとう)」は、特に風邪薬として有名である。発汗、解熱作用があり、普段健康な人の頭痛、肩こりを伴う感冒によく効く。落語の枕に「葛根湯医者」というのがある。どんな症状にも「葛根湯」しか処方しない薮医者の例えで、この漢方処方は昔から広く使われてきたのだろう。

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(写真②:よく繁茂し、あたりを覆いつくす)

巨大な根茎から得られるクズ澱粉(でんぷん)は葛粉(くずこ)と呼ばれ、葛切や葛餅に加工され、さらに葛湯などの滋養薬としても広く用いられる。しかし葛粉が取れるような大きい根茎を探して、それを抜き取る作業は重労働だそうで、最近は地域限定の高級食材として珍重される。その代表が吉野葛(よしのくず)だが、本物の葛粉で作った食品は腰があって、思わず「さすか、本場のものは美味しい」という感想がでる。


Pueraria lobata

マメ科クズ属
別 名●カンネ、カンネカズラ、クズカズラ
生薬名●葛根(かっこん)
【ミニ図鑑】秋の七草のひとつ。北米にも帰化し、赤紫色の花は美しい

▶花期 八~九月


crude_drug_220101_kuzu_3.jpg(写真③:掘り出した太い根茎から葛粉を取る)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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