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薬草の花

クロモジ(黒文字)【1月】

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※クロモジ(黒文字)は四~五月に花を咲かせます。


羽根突きの羽根のよう、花と若芽

(写真①:淡い黄緑色の花は陽光を透かすように美しい)


初夏の山地、ようやく残雪が消えた林に、若芽を伸ばしたばかりのクロモジが花を咲かせていた。クロモジは雌雄異株で、雄花も雌花も淡い黄緑色の散形花序 (茎の先端から放射状に咲く花のつき方)である。下向きに咲く花序の基部に、上向きに若葉が輪生する。掲載した写真よりもう少し時期が経って若葉が開くと、羽根突きの羽根を連想させ、その様子はユーモラスである。長野県北部の多雪地に見られるのはオオバクロモジで、母種のクロモジは南信に多く自生する。


クロモジの枝を爪でこすると、爽やかな香りが漂い、噛めば甘みがある。樹皮をつけたまま枝を加工したものは楊枝として使われ、その名の通りクロモジと呼ばれる。品のある香りが昔から愛されてきたが、さまざまな和菓子にクロモジの楊枝はよく合う。クロモジはおもに民間薬として去痰や鎮咳に、さらに皮膚疾患に使われてきた。


薬効は恐らくこの芳香をもたらす精油成分に由来するものと思われる。精油成分はシネオール、ピネンなどで、それはモクレン科のコブシなどと共通である。

crude_drug_210101_kuromoji_2.jpg(写真②:黒く細い小枝。高級な楊枝が作られる)



長野市周辺では、春先に黄色い花をつけるクスノキ科の樹木を総称して「ジシャ」と呼ぶ。クロモジのほかにダンコウバイ、アブラチャンであるが、この仲間は幹や枝に芳香を持つ。花の咲き方はそれぞれ異なり、後二者は葉より花が先に咲く。初夏になって葉が成長すれば、葉の形からそれぞれの鑑別は容易である。


Lindera umbellata
クスノキ科クスノキ属  別名●釣樟(ちょうしょう)、釣樟根皮(ちょうしょうこんぴ)
【ミニ図鑑】クロモジの名の由来は、樹皮にある黒い斑点を文字に見立てたもの
▶花期 四~五月


crude_drug_210101_kuromoji_3.jpg(写真③:和菓子に合う樹皮付き楊枝「黒文字」)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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