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薬草の花

ツユクサ(露草)【12月】

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※ツユクサ(露草)は八~九月に花を咲かせます。

にごりのない青色
(写真①:花は半日でしおれるが、毎朝次々と咲く。美しい青色)

青いケシの開花が話題になることがあるか、自然界にある植物の中で青色の花はあまり見かけない。そのなかでも、ツユクサほど見事な青色の花はないだろう。ツユクサの青はアントシアニン系の色素である。昔は花の色を布や紙に染め着けたことから、「着(つき)草」と呼ばれた。ツユクサの名称は、葉の周囲の水孔に朝露をつけるさまを表している。実際、早朝に観察するとこの現象がみられ、この命名もまた当を得ている。ツユクサは昔から和歌に詠まれてきたが、「染めた色が褪めやすい」ことから、「恋人の心か冷めやすい」にかけた歌が多いようだ。

ツユクサの花は上部の青い大きな二枚の花弁と、下部の白い小さな一枚の花弁で成り立っており、蕊の黄色がアクセントを添えている。接写してみると、形といい、色といい 写真写りがよい。


生薬名は「鴨跖草(おうせきそう)」で、中国や日本では開花期の全草を日干しし、民間薬として利用してきた。フラボノイドのアオバニン、アオバノールが含まれ、風邪など炎症性疾患の解熱、消炎に使われる。また、日本の民間療法では、花の絞り汁を腫れ物やロ内炎に外用した。



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(写真②:道沿いや小さな草地などに群生する)


ツユクサよりも花も葉も大きなムラサキツユクサは、北米原産で明治初期に渡来した帰化植物である。この植物は細胞体が大きくて顕微鏡で観察しやすいのだろうか。高校の生物の授業で、ムラサキツユクサの葯(やく)を取り出して、花粉母細胞の減数分裂の観察をした記憶がある。酢酸オルセインを滴下して見た顕微鏡下の像は今も忘れ難い。また、ムラサキツユクサは通常の二倍体より草丈の大きな四倍体の株をたまに見かける。



Commelina communis
ツユクサ科ツユクサ属
別 名●ツキクサ、ホタルグサ
生薬名●鴨跖草(おうせきそう)
【ミニ図鑑】花の抽出液は、水溶性で落ちやすいので、友褝染の下絵を描くのに利用される
▶花期 八~九月

crude_drug_221201_tsuyukusa_3.jpg(写真③:北米原産のムラサキツユクサ。花は赤紫色で大きい)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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