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薬草の花

クサギ(臭木)【12月】

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※クサギ(臭木)は八~九月に花を咲かせます。


強い臭気、宝石のような果実

(写真①:高さ2~5メートルの低木。薬用には花期に小枝ごと葉を採取する)


真夏の夕暮れに里山を歩くと、クサギの花の強烈な甘い香りに出逢うことがある。香水にしてもよいような芳香なのだが、それにしてはあまりにも個性的な臭いだ。見上げれば萼が赤色を帯び、花弁が白色で、長い蕊(しべ)を持つクサギの小花が枝いっぱいに咲いている。昼間の暑さが残る夏の夕方の、憂鬱だが何となく心落ち着く情景である。

クサギの若芽を手折ると、なんともいえない異臭が漂ってくる。「臭木(くさぎ)」と呼ばれるゆえんだ。クサギの臭いは、例えは悪いが動物の糞の臭いだ。一方、クサギの花の香りは、若芽のそれをさらに強くしたような匂いなのだが、こちらは不思議と嫌悪感かない。ある種の香水は、糞の臭いのもとであるインドール、スカトールと同系の物質で、糞臭を薄めると感覚的には芳香に感ずると聞いたことがある。匂いとは不思議なものだ。

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(写真②:夏の後半、枝いっぱいに5弁の花を咲かせる)

クサギの若芽は山菜になる。ゆでて水にさらせば、その臭みは消える。昔はゆでたものを乾して蓄え、救荒植物として使われたそうだ。試してみたら、干したゼンマイのようなものが出来た。

匂いはともかく、前述したように花は形がユニークでしかも美しい。また、秋に実る深碧色の果実を草木の灰汁で染めだすと、布は縹(はなだ)色(淡い青色) に染まるという。


茎や葉を乾燥させると生薬「臭梧桐(しゅうごどう)」で、成分にはジテルペノイドのクレロデンドリンやトリテルペノイドが含まれ降圧作用、鎮痛作用が認められる。高血圧や下痢に使われる。


Clerodendrum trichotomum

クマツヅラ科クサギ属
別 名●クサギリ、クサギナ
生薬名●臭梧桐(しょうごとう)、臭梧桐根(しょうごとうこん)
【ミニ図鑑】高さ四~五メートルほどの中木。夏の後半、枝先に多数の花をつけ、ミヤマカラスアゲハがよく訪れる

▶花期 八~九月


crude_drug_211201_kusagi_3.jpg(写真③:赤い萼の中に青紫色の果実という大胆な配色)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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