薬草の花
キダチアロエ(木立蘆会)【12月】
対象疾患や使い方、多様な万能選手
いつのころだっただろうか、アロエが健康食品としてブームになったことがあった。 アロエはアフリカ原産の多肉植物で、肉厚の葉の縁には、等間隔に鋭いトゲが連なる。
愛好される理由
アロエの仲間はとても種類が多いが、大きく分類すると、茎丈が高く伸び枚分かれするキダチ(木立)アロエと、枝分かれしないアロエべラに分かれる。 キダチアロエはオレンジ色の花が美しく、アロエベラは葉が鑑賞対象になり、どちらも園芸種として広く愛好され、栽培される。
キダチアロエの薬効
生薬のアロエ(漢方名-芦薈)は、アフリカ産のケープアロエの葉の粘液を煮詰めたもので、黒色の塊である。 中東やヨーロッパで非常に古くから苦味健胃薬や下剤として用いられてきたもので、主成分はアントラキノン系のバルバロインやアロエエモジンである。 ただし、腸や子宮など骨盤内臓器を興奮させるため、痔、妊娠、月経中の服用には注意が必要である。 民間薬としてのアロエは、対象疾患や使い方はさまざまで、まさに万能薬といってよいほどである。 生の葉をジュースにして飲んだり、内部のゼリー質の部分を使ってさまざまな皮膺疾患や火傷に用いられてきた。
植物分類学では、以前はアロエはユリ科の植物とされていたが、最近の研究ではユリ目アロエ科に分類され、リュウゼツラン(竜舌蘭)科と近縁であるという。 最近はDNA分析が行われ、植物分類学は急速に発展し、旧分類が見直されるようになった。特に以前はユリ科とされていた植物の分類が大きく変わった。
Aloe srborescens ユリ目アロエ科(新分類)別名●キダチロカイ、アロエ
▼花期 十二~三月
【ミニ図鑑】葉の外層は驚くほど苦いが、内部のゼリー質は無味無臭で、刺身にして食べられる。
出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(著)栗田貞多男(著)
アロエベラ