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薬草の花

キンミズヒキ(金水引)【11月】

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※キンミズヒキの花期は7月~9月です
樹皮・つぼみ、皮膚疾患などに利用
(写真①:茎先に総状花序をつくり、黄色い小花をまとめてつける)

キンミズヒキはバラ科の植物である。点々と黄色い花をつけた花穂がすっと伸びるが、
タデ科の小さな赤い花をつけるミズヒキを先に見なければ、祝い事などに使われる「水引き」は連想できない。しかし、キンミズヒキは草丈があり、初夏の山野では黄色い総状花序はよく目立つ。

そしてもうひとつの特徴は、果実の表面にカギ状の細かい毛が密生していて、それが衣服にくっついて運ばれる、いわゆる「ひっつき虫」であること。 中国では「竜牙草(りゅうがそう)」と呼ばれるゆえんである。夏の終わりに、緑色のやや大きめのひっつき虫が衣服についたら、それはキンミズヒキの果実だ。藪山を歩いたときなど、帰宅してからズボンについたひっつき虫を取るのが忙しい。不用意に衣服からはがした種子を庭先に捨てると、翌年には庭じゅうかキンミズヒキだらけになってしまうので注意か必要だ。同じことがマメ科のヌスビトハギでもいえる。 この二種は一度繁殖すると、根が土中に深く固着されるため根絶が難しい。

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(写真②:全草と根を薬用に。果実は衣服にくっ付く)

乾燥した全草や根が生薬「仙鶴草(せんかくそう)」 で、止血、抗菌、抗炎症作用がある。民間では下痢、 ロ内炎、歯肉炎に煎じ液を内服し、湿疹やかぶれには煎液で冷湿布する。成分にはジヒドロイソクマリン、タンニン、 フラボノイドが含まれる。近年、中国では実験的に癌の抑制効果が認められ、がん治療の臨床研究も報告されている。 ヨーロッパでは近縁種のアグリモニーを止血薬として消化性潰瘍などに用いるほか、胆石や肝硬変、痛風に利用している。

Agrimonia Pilosa Var.japonica バラ科キンミズヒキ属  別名 ヒッツキグサ 生薬名●竜牙草(りゅうがそう)、仙鶴草(せんかくそう)
【ミニ図鑑】夏、道端や原野によくみられる多年草。高さ30~80センチ

▶花期 7月~9月

crude_drug_241101_kinmizuhiki_3.jpg(写真③:タデ科のミズヒキは進物にかける水引きによく似ている)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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