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薬草の花

イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)【11月】

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※イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)は六~七月に花を咲かせます。

全体に麝香の香り
(写真①:初夏、地面をはうように無数のピンクの花をつける)

属名がラテン語でタイムと聞けば、この植物がシソ科のハーブであることがわかる。タイムは独特な香りと苦みのある香辛料として知られ、洋食で広く使われる。タイムの代表種のタチジャコウソウはヨーロッパ原産で、日本のイブキジャコウソウと驚くほどよく似ている。どちらも全草に芳香物質を含み、麝香(じゃこう)の香りがするためジャコウソウの名がついた。ちなみに麝香とは雄のジャコウジカの下腹部にある包皮腺でつくられる香料のことである。香水の原料になり、「シャネルの五番」にも入っているという。「イプキ」は岐阜、滋賀県境の伊吹山のことで、最初にそこで見つかったために名付けられたが、この植物は全国に分布し伊吹山に限らない。同科異属にジャコウソウという植物もある。

「麝香草」の名がつくが、茎は木質で地をはい、シソ科の小低樹木に分類される。イブキジャコウソウは長野県では県西南部を除く広い範囲に分布する。乾燥したやや標高の高い所に生え、赤紫色の美しい花を咲かせる。丈は低いが、群落をつくって横に広がり、一株が大きなものだと直径一メートルほどに成長する。緑の葉と小さな赤紫色の花が絨毯のように広がり、目を引く。



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(写真②:山麓から高山まで生育、特に岩れき地によくみられる)

ハーブのタイムとは「カ」を意味し、勇気のシンボルとされた。成分は殺菌消毒作用を持つチモール、去痰作用を持つカルバクロール、シメンなどのモノテルペン類の精油成分である。軟膏に混ぜたり、うがい、歯磨き剤に添加される。日本のイブキジャコウソウの生薬名は「百里香(ひゃくりこう)」だが、「タイム」ほどには利用されないようだ。



Thymus quinquecostatus
シソ科イブキジャコウソウ属
生薬名●百里香(ひゃくりこう)
【ミニ図鑑】イブキトラノオ、イブキフウロなど伊吹山の名をつけた植物は三十種以上ある
▶花期 六~七月

crude_drug_221101_ibuki_3.jpg(写真③:谷間の日陰に生える異属のジャコウソウ)


出典:「信州・薬草の花」(クリエイティブセンター)
市川董一郎(文)栗田貞多男(写真)


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