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生薬の話

薬学生のための一日工場体験学習会

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2010年より、薬学生が、百草丸の製造・品質管理体験をする「一日体験学習会」を開いており、この間の7月7日で18回目を数えました。

薬学部は、2006年より6年制過程が設けられ、薬局病院実務実習が必修化され、薬学生は5年生になると各地域の薬局や病院で実務実習を行います。この期間に、検査センター、訪問看護ステーション、介護施設、製薬会社、保健福祉事務所など、外部での一日体験学習も併せて行われ、当社は地域にある民間伝承薬の製造所ということで、薬学生を受け入れ、体験学習会を行っています。

最初にこのお話を頂いた時には、どのような内容の学習会であれば思い出に残る体験をしてもらえるのかと悩みましたが「信州の腹薬(はらぐすり)の百草丸ならではの製造方法を伝えてもらえれば」とのご意向を伺い「薬づくりの面白さ・楽しさを体感してもらう」ことに専心することにしました。

キハダの皮むき

体験学習テーマとして最初に浮かんできたのは「キハダの皮むき」でした。

百草丸の主薬オウバクはキハダの樹皮(周皮)を剥がした内皮を乾燥させたものですが、6~7月のキハダの水揚げの頃は"スルリ"と周皮が剥がれ、それは見事な鮮黄色の内皮(オウバク)が現れます。
このテーマは、全員一致で決まり、総務のメンバーが学習会前日に社屋周辺にあるキハダの枝を伐採し30センチぐらいの長さにそろえて準備をしました。
予想通り、当日鮮やかな黄色の内皮が現れた時にはあまりの美しさに皆が歓声を上げました。

崩壊試験の観察

その次には、誰にでも分かり、大学での実習課題にもあると思われる崩壊試験の観察です。

崩壊試験とは服用した薬が体の中でどの位の時間で溶けるかを測定する試験です。
崩壊試験装置に人口胃液(第一液)と人口腸液(第二液)を入れ、そこに百草丸を入れたバスケットを落とし込み、上下運動させ、どの位の時間で百草丸が溶けるかその溶ける様子と合わせて観察するものです。
品質管理のメンバーが手順説明のシナリオを書き予行演習までして当日に備えました。

ガジュツ末の確認試験の観察

それからその次には、百草丸に配合されているガジュツ末の確認試験の観察です。

製造した百草丸の中に確かにガジュツ末が含まれていることを確認するための試験で、ウォーターバスを使用し複雑な装置で試料を抽出しますが、最後に確かにガジュツ末が存在すること(スポット)がはっきり現れることから試験業務の中で一番面白いと品質管理の久保田さんおすすめの試験です。


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実際の製造現場

製造現場での作業体験は、製丸工程又は包装工程の実際の現場で作業をしてもらうというものです。
その他、工場内の清浄度を保つための試験業務やお客様からの品質や服用方法などの問い合わせ対応についても説明をしました。


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「一日体験学習会」から私たちが学ぶこと

当時を振り返ってみますと、皆が日々行っている業務を薬学生に体験してもらうために、各々が一生懸命に資料を作成し、綿密な打ち合わせをして当日に備えました。

私共の会社は小さな製薬会社で製造や品質管理メンバーは人前での発表体験も無い状況でしたから、薬学生よりも当社のメンバーの方が緊張して、第一回目を無事に終えた時には、安心感で胸が一杯になりました。
皆で「よかったね」と充実感と共に喜びを分かち合いました。



薬学生のお陰で私たちは貴重な体験をし、どんなに簡単なことであっても自分自身が隅々まできちんと理解できていなければ人に正しく物事を伝えることが出来ないことなど多くを学びました。
そしてこの7年の間には、この学習会の司会進行役も製造の中堅社員の梶川さんから若手社員の五月日さんに交代し、研修内容を新しくしたり、説明資料や画像の充実化を図ったりしています。
薬学生の参加者は多い時には7名ほど、少ない時には3名の時も1名の時もありましたが、皆で楽しみながら続けてきました。




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