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生薬の話

ものを大切に循環すること~ミモザに乗せて~

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 3月に入り、木曽谷でも少しずつ春の兆しを感じておりますが、いかがお過ごしでしょうか。まさに三寒四温の時、季節の変化に気をつけてお過ごしになりますようお祈りいたします。

廃棄されるものを活かす

 さて、サーキュラーコットンペーパーをご存知でしょうか?廃棄される繊維から作られる紙です。日本では毎年9200万トンもの繊維が廃棄されているそうです。衣料品、産業用繊維などによるものですが、中には新品の衣服が廃棄されることもあるそうです。

 このいわゆる「繊維ごみ」を何とかすることができないか、と考え、技術開発に取り組み、繊維の廃棄物から紙をつくられ、資源の循環に取り組まれているのが一般社団法人サーキュラーコットンファクトリー様(CCF)です。「廃棄物は資源」と考え、通常は焼却処分または埋め立て処分される繊維に新たな命を吹き込み、多くの方々が利用できる紙として提供されています。

 先日、CCFの代表理事 渡邊智恵子様とお話をさせていただく機会がありました。渡邊様はオーガニックコットン(有機栽培された綿)を日本にもたらされた方であり、現在は様々な社会課題への取り組みを牽引されています。渡邊様から、下記のようなお話を伺いました。

  

 「ものは、これを活かす人に集まる。ものは、皆意思を持っている。それを行動の原点にしていきたい。」

  

 これは、日本人が古くから持っていた考え方だったのではないかと思います。「もったいない」は日本語にしかない言葉と言われます。戦後の経済成長に伴う大量消費・大量廃棄を見直し、身の回りのあらゆるものを大切にし、廃棄せず循環させようという取り組みが様々な分野で進められています。渡邊様の精力的な活動の根底に、ものに感謝し大切にするという、日本人らしい素朴な願いが込められていることを知り、感銘を受けました。

キハダ薬膳茶

 弊社のキハダ薬膳茶は、サーキュラーコットンペーパーをパッケージに使わせていただています。キハダ薬膳茶は、ミカン科落葉高木キハダの葉を焙煎し、全7種類のハーブ・スパイスを加えたお茶です。crude_drug_250301_kihadayakuzentea.jpg

 キハダは、内側の樹皮であるオウバクに薬効成分があり、百草・百草丸づくりに用います。梅雨の頃、皮むきを行いますが、従来の皮むき作業では、葉は山にそのまま置いてくる、または廃棄してしまっていました。梅雨の頃の葉は、生命力にあふれ青々と美しく、何かに活かすことができないか、それによって健康に寄与することができないか、と考え、つくりましたのがキハダ薬膳茶です。国内産のキハダは年々希少になっています。

 キハダの恵みを大切にし、皆様の健やかな毎日のお役に立ちたい、それを通して先人から伝えられた薬づくりを未来へ継承したいと願いつくりましたお茶の外側を、サーキュラーコットンペーパーが守り、つながる思いを発信してくれているようで、とても心強く、有難く感じております。紙の手触りが優しく自然な風合いであるのも、うれしいことです。

ミモザに乗せて 「CCF × アトリエふるらん × 日野製薬 コラボレーション・プロジェクト」

 さて、CCF様では、サーキュラーコットンペーパーを用いてアート作品を数々作られています。特にCCFのアイコンにもなっている白い花は、アトリエふるらん様代表で、アーティストのフジヨシゆみこ様が製作されています。

   

 このたび、「CCF × アトリエふるらん × 日野製薬」のコラボレーション・プロジェクトを立ち上げ、ミモザをモチーフとしたフラワーアートを製作いたします。ミモザは春に咲く黄色の可憐な花です。キハダの樹皮であるオウバクは、鮮明な黄色であり、古くから薬用のみならず、黄色の染料としても用いられてきました。CCF様のサーキュラーコットンペーパーを、弊社のオウバクから抽出した黄色い染液で染め、アトリエふるらん様がフラワーアート作品を製作することとなりました。

  

 アトリエふるらん様に製作いただいたフラワーアートは、明るくチャーミングで大変素晴らしいものです。代表のフジヨシ様は、願い事を書き、お守りのように持ち歩くことのできる「お守りーふ」を考案し、サーキュラーコットン和紙でつくられてきました。今回、黄色に染めたミモザとお守りーふでガーランド(花飾り)をつくり、白い花の上にかける作品を考えてくださいました。白を基調とし凛とした花の上で、ふわふわ、ゆらゆらと黄色の花がゆれ、何ともチャーミングで愛らしく、素敵な作品が出来上がりつつあります。間もなく完成する予定です。

  

 このアート作品には3者の共鳴する3つのテーマがあると考えています。

  

●アートを通して心の交流を

 「アートは人の心を揺り動かし物事を前進させる」というのは、渡邊様のお考えであり弊社も深く共鳴するところです。言葉を尽くしても伝えられないことを、心に届け、その感動で物事を動かす力がアートにはあると思います。廃棄されるものを大切に、素晴らしい地球を次の世代に、と願う気持ちをフラワーアートに乗せて、多くの方々と思いを共有し、心の交流を持つきっかけになりましたら幸いに存じます。

  

●ものづくりへの思い

 アトリエふるらん様では、全てのお花を手作業で一つ一つ作られています。特にミモザは、和紙を小さく手でちぎり、花を仕立てていくという、気の遠くなるような作業を、一つ一つ丁寧に行っていただいています。「楽しみながらつくっていますよ」とのお言葉の奥に、ものづくりへの確固たる信念を感じます。その原料となるサーキュラーコットンペーパーは多くの方々の創意工夫により開発され、製造されています。また弊社のオウバク抽出液やオウバク残渣も、社員が貴重な天然原料を活かすため暑さ、寒さの中、懸命に作業いたしました。多くの人の手を経て、心を込めて作られる作品が、ご覧になる方のお心に何かを残すことができればと願っています。

  

●未来への継承

 CCF様、アトリエふるらん様、弊社ともに自然の恵みに感謝し大切に扱い、先人から与えられた素晴らしいものを未来へ継承していきたいと共通して願い、日々の取り組みを実施しています。この願いを体現するのが、今回のフラワーアートであると考えています。

  

 ミモザは3月8日の国際女性デーを象徴する花でもあります。今回製作するアート作品は、今後、企業様の国際女性デーのイベントなどで展示いただく予定です。自分らしくありたいと願う多くの方々を応援し、ともに素晴らしい未来をつくり上げていくことができましたら幸いに存じます。

  

日野製薬株式会社

代表取締役社長 石黒和佳子

  
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