生薬の話
唯一無二の製剤「ふどう丸」
唯一無二の生薬製剤「普導丸」
普導丸は、七種類の粉末生薬を水だけで練り合わせて丸剤にした大変シンプルな製剤です。異なる薬効を持つ生薬をバランスよく組み合わせ、それぞれの生薬固有の薬効(味や香りも含む)を損なわないように、無駄な加工や無理な処理を一切行わずに自然に仕上げています。
丸剤の起源は、古代エジプト、ギリシャ、中国にさかのぼる歴史的に古い剤形です。
古代から人々は自らの健康を守るために、薬草を煎じたり丸薬にしたりして病気の予防や治療に役立ててきましたが、丸剤は、時代を経ても生薬の薬効を丸ごと活かすことができる剤形として適切であると考えています。工程の随所に手作業を加えて手間ひまを惜しまず製造をしている普導丸のような生薬製剤は、現代では、日本の国内を見回しても見当たらないか又はあっても大変少ないと思われます。自然治癒力をたかめ、じんわりと身体に幅広く働きかけるのは、原料に負荷をかけない丸剤ならではの製造方法にあると思っています。
普導丸の開発者「故下条周助氏」
普導丸は、昭和42年、今から約50年前に当社の薬剤師であった故下条周助さんが開発した製剤です。キハダの黄色い色が染みついたよれよれの白衣を着て、試験室で遠心分離機を回していた姿が印象に残っています。いつもにこやかに「あのねー」と優しく語りかけ、天秤で試料を秤量していた姿も印象に残っています。日本が高度成長に向かいつつあった頃に普導丸の試作品作りに取り組んでいたのです。百草丸の増産のために製丸機を導入し、5.6年が経過し、その生産で培った製丸技術を熟知していたからこそ製剤化にこぎ着けられたのだと思います。普導丸は、当世風に言い表すと、日本のモノづくりが生んだ製品なのです。処方構成は、漢方理論を取り入れています。緩やかに作用する医薬部外品として、乳児以外は誰もが服用できるように処方検討がなされています。
独自処方で製剤化された「普導丸」
普導丸は、古めかしい伝承薬のイメージが咄嗟に浮かびますが、処方は、実に斬新であることに驚かされます。
胃腸薬のオウバク末を主薬に、主薬を補う佐薬として婦人病の要薬であるトウキ末・センキュウ末、胃腸を温めて改善を促す生薬のケイヒ末・ショウキョウ末・ウイキョウ末、そして当時生薬として脚光を浴びつつあった日本では屋久島や奄美大島に多く産出する胃腸薬のガジュツ末を配合し、製剤としての独自性を出しています。
オウバク末は主に胃腸に働きかけます。そこに、体を温め、血の巡りを促す漢方の要薬のトウキ末・センキュウ末を程よく配合し、どのような体質の方にでも服用していただけるようにしています。薬としての使用部位と食材として使用部位は異なりますが、ケイヒはシナモン、ショウキョウはショウガ、ウイキョウはフェンネルと、香辛料としても世界中で用いられてきました。芳香性健胃・利胆薬のガジュツ末については、当品質管理室にガジュツ関連書籍がたくさん残されていることから、開発当時、相当調べたことがうかがえます。そして、最後に銀箔でコーティングして仕上げています。
「普通に導く丸剤」と名付けたのは、亡父(文平)だったかも知れません。父は豪放磊落、下条さんは温厚篤実、見事なパートナーシップであったと思います。
当初は、高価な金箔の型押しの「龍」模様の黒の箱に納められ発売されました。深い思い入れがあったことを物語っています。
普導丸の真髄は「配合の妙」にあると思っています。調合の程よさが人間の五感に働きかけ、気分をリラックスさせてくれるのではないかと思っています。
普導丸のことならどんなことでもお問い合わせください。
また、配合生薬の解説は伝承薬事典に掲載していますのでご覧いただければ幸いです。