生薬のこと

生薬・生薬を用いた薬づくり(第12回)


四季と寄り添う


日本には四季があり、季節の様々な恵みに寄り添うことで自然と調和し暮らしを営み、人々は自らの健康を守るために、自然の恵みである天然物にシンプルに手を加えただけで薬として用いてきました。

日本のほぼ中央に位置する信州の木曾地域は、多種多様な薬用植物が生息し、古くは良質なキハダが採れたことから民間伝承薬「百草」「百草丸」「普導丸」が生まれました。

生薬をまるごと活かす

生薬は低分子から高分子にいたる多種多様の成分で構成されています。薬効を発現するために必ずしも全ての成分が揃っていなければならないわけではありませんが、本来多成分系である生薬の作用は、共存する他の成分との相加的・相乗的な作用、様々な生理活性成分の協力作用によるものと考えられています。分離や合成により取り出した純粋な単一の有効成分による製剤が多くの利点(たとえば、即効性等)を有しているとはいえ、生薬そのものをエキス又は粉末に加工しただけの原料を用いた生薬製剤は副作用の発現が少なく、自然治癒力を補うようにじっくり、ゆっくり作用するという点で大変優れています。

当社の製品づくりは、この生薬の中に含まれる多くの薬効をじっくりと時間と手間をかけて引き出し、味や香りを丸ごと活かして、天然の良さ(たとえば苦味はそれだけで薬効発現の重要な要素)を体感しながら服用することで病気の改善にお役立ていただきたいと製造を行っています。生薬を扱う上においては「天然の生薬の恩恵を丸ごと活かす」ことが最良・最善であると考えているからです。

伝統的であっても新しさを追求

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伝承薬であっても新しいものを積極的に取り入れてより良い製剤を開発することが大切です。
当社では平成26年に従来の百草丸に新たにエンゴサク末を追加し、健胃・整腸・粘膜修復の三方から働きかける日野百草丸(国産のキハダを使用)・百草丸プラスを開発・発売いたしました。 平成27年には板状の百草の飲みにくさを克服するため百草の錠剤化に成功し、百草錠を発売いたしました。

莫大な費用と人材を投入する新薬の開発とは異なりますが、天然物を扱うため、時間(百草丸は6年、百草錠は8年)と労力と根気の勝負であったと思い返しています。

今後も一層の品質管理に努め、お客様に安心してご利用いただけるように万全を期して製造、出荷、販売に取り組んでまいります。ご愛顧のほど、お願い申しあげます。


出典:「生薬学概論」難波恒雄著