キハダプロジェクトのきっかけ

 キハダの周皮を除いた樹皮である生薬オウバクは、鮮明な黄色をしています。古くから薬としてのみならず、染料としても用いられてきました。またキハダの材は木目が美しく軽量で軟らかいため、漆器の生地や家具、床柱などにも使われています。更に、木曽地域では、キハダの実をキハダ餅にして食べる風習もあります。

  

 キハダを用いてつくられる素晴らしいものが日野製薬の周りにあります。今年に入り、ご縁のある方々がキハダを用いて創意工夫によりつくられたものを弊社にお届けくださる機会が増えました。ストール、ポーチなどです。このように素晴らしいものが、様々な人の手によりつくりだされるのであれば、弊社内だけに留めておかず、世の多くの方々にお届けしたいと考えたのが、キハダプロジェクトを立ち上げたきっかけです。

  

 これらのものは、キハダを大切にする願いが、目に見える形になって現れたようにも感じています。日野製薬の社業の根幹にある考え方を形にして、多くの方々にお届けしたいと考えています。

  

 百草・百草丸の製造工程においてエキスを抽出し、濾過した後に残るオウバク残渣には、まだ美しい黄色が残っています。これを染料などに用いて、身の回りを彩る美しいものを生み出すことが出来ないか、と考えています。また、キハダの皮むき後に残る材は、木工製品などに用いることができないかと考えています。これまで利用されずにいた様々なキハダの部分に新たな価値を加え、お届けしていきたいと考えています。また、キハダプロジェクトにより現れるものが、生薬を用いた薬を日常の暮らしに取り入れるための足掛かりとなることも期待しています。

  

 日野製薬が古くから携わるキハダを用いた薬づくりとキハダプロジェクトは、弊社の取り組みの両輪であり、互いに循環していると考えています。