生薬とともに

キハダ植樹 2026年

hino_blog_260518_kihada_planting1.jpg(キハダ植樹 2026年)

 2026年5月17日、キハダ植樹を行いました!

 五月晴れの清々しい天候に恵まれ、多くの皆様にご参加いただき、地域内の様々な方々のご支援・ご協力によりキハダ植樹を無事に行うことができ、大変感謝しております。

 日野製薬は信州木曽の地に古くから伝わる百草、百草丸をはじめとする生薬製剤を製造、販売しています。これらの生薬製剤の主原料は、キハダの周皮を除いた樹皮である生薬オウバクです。国内産のオウバクは年々入手が困難となっております。弊社では古くからキハダの植樹や苗木の配布を行ってまいりましたが、2021年より大きな規模での植樹を継続的に開始し、今年で6年目となります。今年は、木祖村の鳥居峠ふもと、及び、やぶはら高原スキー場付近の山林の2ヵ所に植樹を行いました。

キハダ植樹により目指すこと

 弊社では、国内産のキハダ、ひいては、木曽産のキハダを用いた薬づくりを、何としても継続したいと考えております。

 木曽の自然の恵みの中で、木曽の豊かな自然と風土の中でキハダを大切に育て、将来の薬づくりに生かし、多くの方々の健康長寿にお役立ていただきたいと願い植樹を行っています。更に、自然の恵みを用いて健やかな暮らしを維持する木曽の先人の知恵と経験を未来につなぎたいと願っております。

 そしてもう一つ目指したいことがあります。弊社の本社が所在する木祖村は「木曽川の源流の里」です。豊かな水は、豊かな森と肥沃な土によって育まれます。源流の森を守り育て、その土壌から美しい水を育み、木曽川の源流から下流までの多くの方々の暮らしや産業に役立つよう努力することは、木祖村で社業を営む私どもの責務の一つであると考えています。このため、良質なキハダを育て、生薬原料として収穫するのみならず、植樹する森が、生物多様性保全、水源涵養、土砂災害防止など、森林の多面的機能の発揮を同時に実現することも目指し、試行錯誤を繰り返していきたいと考えています。 

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キハダを含む混交林(こんこうりん)の植樹

 これに伴い、弊社では2024年から「混交林の植樹」を行っております。「混交林」とは、2種以上の樹種から成る山林のことです。キハダのみではなく、キハダ以外の樹種も同時に植樹します。

 今年は、対象樹種の選定において、今年は2つの点を考慮しました。

 1)木曽の伝統産業に用いられる樹種で希少となっているもの

 2)生薬および染料として用いられる樹種で希少となっているもの

 昨年のキハダ植樹にてご来賓のご挨拶をいただきました木祖村奥原村長より、木曽地域には百草・百草丸のキハダ、お六櫛のミネバリ、木曽漆器のウルシと古くからの産業に欠かせない樹種があるがいずれも希少になっているとのお話をしていただきました。この時にキハダと同じ苦境に立たされている樹種も植樹したいと考えました。

 また、キハダは古くから生薬のみならず、黄色の染料としても使われてきました。天然原料を用いた染色に携わられる方々との交流の中で、染料として用いられる樹種の中にも、希少になっているものが様々あると教えていただき、候補となる樹種をリストに挙げていただきました。当該樹種リストについて、長野県地域振興局林務課及び林業大学校の専門家の方々に、木曽でキハダとともに生育することに適しているか否かをご評価いただきました。そして苗木の入手可否も考慮し、本年植樹する樹種を決定いたしました。

<今年の植樹対象樹種>

 今年は7種類の樹種を植樹しました。hino_blog_260518_kihada_planting3.jpg

  ・キハダ

  ・ウルシ

  ・アカメガシワ

  ・ハンノキ

  ・クヌギ

  ・カリン

  ・ヤマモモ

 ウルシは苗木を早くいただき、4月24日に既に植樹を行いました。5月17日にはそれ以外の6樹種を植樹しました。

「植えない植樹」の実践

 今年の植樹では、これまでにない新たな試みを行いました。「植えない植樹」です。

 毎年、植樹後に、苗木の生育状況を調査しております。そうすると、植樹した苗木より、周りに天然で生えてきた木々の方が立派に大きく育っている様子を目の当たりにしてまいりました。木祖村には豊かな天然の植生があります。天然の力に勝るものはありません。

 実際に今年のキハダ植樹地においても、事前の調査で40本以上の天然更新のキハダの稚樹が見つかりました。折角芽生えた天然更新のキハダを大切にしたいと考え、その周辺には植樹をしないことにしました。

 また、混交林の植樹にあたり、これまで「パッチワーク状混植」という手法を取っています。当手法では、樹種ごとのパッチワークを隣り合わせて植えます。しかし今年から「何も植えないパッチワーク」も設けることとしました。天然更新で生える樹種はそのままに、植樹した樹種の成長を大きく阻害しない限り、それらの成長も見守りたいと考えています。

 キハダや植樹する樹種の成長を願いながら、自然の森も目指す、これは、ある意味、相反するゴールを同時に目指すことを示します。また混交林の森づくりは容易なことではありません。しかし、分からないことは自然に聞け、だと思います。自然の大きな営みの中で、人間ができることはわずかしかありません。植樹をさせていただき、その後の生育をしっかりと見守り、自然から学びをいただきながら、毎年少しずつ改善を繰り返していきたいと考えています。

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植樹当日の様子

●「百草の森」で開会式

 植樹日は、五月らしい清々しい青空と爽やかな風の吹く日でした。5歳の小さなお子様から60代の方まで、県内外から約100名の方々が集まり植樹を行いました。

 開会式は、木祖村 鳥居峠ふもとの「百草の森」で実施しました。「百草の森」は2024年のキハダ植樹地で、鳥居峠の登山道の入口、原町稲荷の目の前にあります。キハダを含む混交林を植樹したはじめての場所です。2年間の成長の様子を参加者の皆様にご覧いただきたいと考え、開会式の場所に選びました。開会式後、全員で森を抜けて今年の植樹地に歩いて向かいました。

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●午前中は「鳥居峠ふもとの山林」で植樹

 午前中は、鳥居峠ふもとの山林で植樹を行いました。4班に分かれ、各班で専門家から植樹方法のご指導を受けた後に、実際の植樹を行いました。初めて植樹する方、何度も経験のある方など、様々な方が参加されていましたが、全員一様に熱意を持って、懸命に植えていただきました。午前中はキハダ、及び、キハダ以外の樹種の植樹を行いました。

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●キハダ天然更新地の見学

 午前の植樹が予定より早く終了したため、急遽、天然更新のキハダが育つ山林の見学を行いました。天然更新のキハダの生育状況に興味関心を持ってご覧いただきました。その後、木曽山林協会 松原 秀幸様より、木曽の森についてお話をしていただきました。

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●午後は「やぶはら高原スキー場付近の山林」で植樹

 昼食をはさみ、午後はご希望者のみ、やぶはら高原スキー場付近の山林で植樹を継続しました。午前中の鳥居峠ふもととは異なり、大変急峻な斜面で、植樹を行いました。しかしこちらでも皆様、本当に懸命に植樹に取り組んでいただき、予定より早く作業が終わりました。

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●「日野百草本舗 奈良井店」でキハダの取り組みを見学・休憩

 またご希望者には、日野百草本舗 奈良井店にお立ち寄りいただき、弊社のキハダの取り組みのご紹介を行い、ご休憩いただきました。植樹作業を終えた皆さま間の交流も生まれ、大変和気あいあいと楽しいひと時となりました。

      

 植樹は森の始まりです。ご参加いただきました皆さまとその時をご一緒に共有させていただきましたことは、何にも代えがたい貴重な時間となりました。皆さまの手で植えていただいた苗木は必ず大きく育つと信じています。ご参加いただきましたお一人お一人、また、開催のためにご支援・ご協力いただきました多くの木曽地域内の団体・個人の皆様に心より感謝しております。今後もキハダの森を大切に見守ってまいります。

  

日野製薬株式会社

代表取締役社長 石黒和佳子


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