石黒和佳子社長ブログ

自律社会に向けて

hino_blog_241114_awaji.jpg(自律社会に向けて)

竹林一さんとの出会い

 先日、パソナHRソリューション様のWomen's Advanced Program(女性リーダー研修プログラム)で、京都大学経営管理大学院客員教授、大阪大学フォーサイト株式会社の竹林一さんとお目にかかり、お話をさせていただき、講座の一部をお聴きする機会をいただきました。

  

 竹林さんは、「たった一人からはじめるイノベーション入門」の著者であり、「起承転結」人材論の提唱者でもいらっしゃいます。事前に著書を拝読し、とても面白い方だなぁと思っていましたが、実際にお会いした竹林さんは、もっと面白く、楽しく、温かなお人柄と深く豊かなお心の方でした。

 

 講座ののっけから、受講者からどんどん笑いが起き、笑いながら、楽しみながらお話に引き込まれ、気づくと大きな学びをいただいている。そんな素晴らしい講座でした。大変失礼ながら、落語のような、漫談のようなおもしろエピソードと絶妙な間に、爆笑せざるを得ないのですが、イノベーションとは、イノベーションを実現する人財とは、ひいては自分は何をもって世に貢献しどのように生きていくべきなのか、について考えさせられ、学びを得る素晴らしいひと時でした。イノベーションは身近なこと、誰しもがイノベーションを実現できる、しかしその過程で必ず衝突や悪影響などが起こるため覚悟して臨め、起承転結人財でチームを形成し、皆の力を結集し乗り越えよ、と大きな気づきと勇気をいただきました。また、前日に講座の一コマを担当させていただいた者としても、講師とは斯くあれ、の偉大なる背中を見せていただきました。私のように思いの丈を切々と大真面目に語るだけではつまりません。心に訴えかける講座の在り方についても考えさせられました。

SINIC理論(サイニック理論)とイノベーションについて

 竹林さんのお話から沢山の学びをいただいたのですが、講座の中で最も印象に残ったのは、竹林さんの前職であるオムロン株式会社の「SINIC理論(サイニック理論)」と未来を創造するイノベーションについて、です。SINIC理論とは、オムロン創業者の立石一真氏らが構築した未来予測理論です。立石一真氏は「事業を通じて社会的課題を解決し、よりよい社会をつくるにはソーシャルニーズを世に先駆けて創造することが不可欠になる。そのためには未来を見通す羅針盤が必要だ」と考え、自ら未来研究を行い、理論を構築したということです。

 

 SINIC理論は、過去から未来に向けての科学、技術、社会の相互関係による変化を記した海図のようなものだそうです。1970年に発表され、その後、実際に本理論が示すように世の中は移り変わってきたということでした。現在、2024年は「最適化社会」にありますが、この後2025年から「自律社会」が訪れるそうです。

自律社会とは?

 では自律社会とはどのような社会でしょうか?

 

 自律社会とは、【「個人と社会」「人と自然」「人と機械」が自律的に調和する社会】ということです。「人間として生きる歓びを追求するといった「心」の豊かさを求め、自立した「個」が相互に支え補い合って、より大きな価値を創る社会」であり、「自らの思うように生きることが結果として社会に調和して、よりよい社会への価値創出に貢献するような社会」ということです。

 

 私にもその全容が理解できているわけではありません。しかし、少なくとも、物質の多寡だけでなく、人の真の心の豊かさが希求される時代、一人ひとりがその人らしく生きること、自然と共生して生きていくことが重要視される時代が訪れるのだ、と思いました。またテクノロジーは、湛に人の生産性を高め、より多く、より早く、より高い品質で物事を行うために役立つだけでなく、人らしく生きるための手助けをし、人の可能性を拡げてくれる時代が到来するのだ、と感じました。これは本当に素晴らしいことと思います。

竹林さんが教えてくださった3つのこと

 また竹林さんは、3つの素晴らしいことを教えてくださいました。まず「イノベーションとはソーシャルニーズの創造であり、社会の課題を解決することによって、より良い社会を実現することである」ということ。そして「経営とは未来の創造である」こと。更に「未来"予測"理論と言われるSINIC理論だが、創業者の立石氏は"予測"ではなく"意志入れ"をしていたのではないか」ということです。

 

 このことは大きく私の心を揺さぶりました。「経営とは未来の創造である。」がーん、いや、自分は経営者の端くれとしてそのようなことができているのか??よく「百草・百草丸を未来へ継承したい」と各所で言い、実際にそう願っていますが、それだけでは十分でない、ということです。自らの手で、多くの方々のお力を結集して、その未来を創造しなければならないのです。そして、「SINIC理論は意志入れの成果でもある」ということです。こういう未来をつくりたい、人間として生まれたからには次世代の人間のために素晴らしい未来をつくりあげるのだ、という強い意志と使命のもと創りあげた理論が、現実に落とし込まれているというのは、本当にすごいことです。またこの理論の羅針盤を持つことで、成長が遅かろうが赤字であろうが事業を立ち上げ、準備し、泰然と時代の到来を待つ、その時代が到来したら、待っていましたと製品やサービスを多くの方々にお届けし、社会課題を解決してきたのがオムロンだということです。会社は社会の公器である以上、そのような先見性と覚悟を持って、社会に役立たたなくてはならないのだ、と大きな、大きな気づきと学びをいただきました。そしてそれを実現するためのイノベーションの考え方や方法論を、竹林さんは教えてくださっているのです。こんなに心強いことはありません。大きな石をがーんと頭にぶつけられたような感覚、そして大きな感銘とお力をいただきました。

自律社会における日野製薬の役割

 自律社会とは、一人ひとりが自分らしく生き、個別最適と全体最適のバランスと調和のとれた社会だと思います。日野製薬は信州木曽の地において伝統薬の百草、百草丸、普導丸をはじめとする生薬製剤を製造し販売しています。自律社会における日野製薬の役割とは何か?これは:

 

・自分らしさの発揮をお支えする生薬製剤のご提供

・自分らしく輝く人を未病の状態から普段の健康体に導くお手伝いをすること

・自然の恵みを日常の暮らしに取り入れ健やかな毎日を送るサポートをすること

であると考えます。

  

 自分らしく生きるためには、心身の健康がとても大切です。食べることは生きることです。また人間は自然の一部である以上、人生の各段階で起こりえる不調とうまく付き合い生きていく知恵の源は、自然の中にあると考えます。弊社は木曽の自然の恵み、人々のお陰で今日まで社業を営んでまいりました。自然の恵みを日々の暮らしに取り入れやすい形でお届けし、多くの皆様が自分らしく健やかに活き活きと生きること、すなわち健康長寿、をお支えするのが、日野製薬の役割であると考えます。

   

 この役割に対して弊社はどのようなイノベーションを起こせるのか?これから社員一同でチャレンジしていきたいと思います。

  

 大きな学びをいただきました竹林一様、そして竹林様との出会いの機会をいただいたパソナHRソリューション様に心から感謝しております。

  

日野製薬株式会社

代表取締役社長 石黒和佳子

出典:竹林一氏著「たった一人からはじめるイノベーション入門」、オムロン株式会社「SINIC理論」

  

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