生薬とともに

2024年キハダ植樹

crude_drug_240518_kihada_planting1.jpg(2024年キハダ植樹)

 2024年5月18日、キハダ植樹を行いました!

 

 日野製薬は、信州木曽の伝統薬である百草、百草丸を始めとする生薬製剤を製造・販売しています。この主原料はミカン科の落葉高木「キハダ」の周皮を除いた樹皮である生薬「オウバク」です。国内産のオウバクは年々採取量が減少しています。木曽の豊かな自然と風土の中でキハダを大切に育て、将来の薬づくりに生かし、多くの方々の健康長寿にお役立ていただきたいとの願いを込めて、キハダの植樹を行っています。弊社では古くからキハダ植樹を行っていますが、2021年5月から、より大きな規模で植樹をはじめ、今年で4回目となります。

 

 5月18日のキハダ植樹は、2歳のお子さまから74歳の方まで、総勢65名の方々にご参加いただき、鳥居峠、及び、やぶはら高原スキー場に、約1000本の苗木を植樹しました。今年から新たな取り組みとして、「キハダ林の植樹」に加え、キハダを含む「混交林の植樹」を行いました。多くの皆様にご参加、ご支援・ご協力いただき、大変素晴らしい一日となりましたこと心より深く感謝しております。

 

 5月18日は、雲一つない青空の日でした。植樹は、大雨でない限りどのようなお天気でも行いますが、やはり青空はこの上なくうれしいことです。社員は6時半に集合し、朝礼の後、準備を開始しました。晴天に恵まれたことの感謝、そして何よりも、ご参加いただく全ての皆様のキハダ植樹の安全と無事を祈願し、本社社殿にお参りし、植樹地に向けて出発しました。

 

 今年の植樹は、鳥居峠の登山道入口の山林で行いました。鳥居峠は、中山道の薮原宿と奈良井宿の間に位置します。その頂上近くに御嶽神社があり、弊社にとっても大変縁のある場所です。このような場所に植樹させていただけることは大変有難いことと感じています。(詳細は生薬ブログ5月号参照)また、2021年、2022年に植樹したやぶはら高原スキー場への補植も行いました。

 

 開会式を行う鳥居峠の植樹地に向かうと、美しい新緑が朝日に照らされ、きらきらとした様子で迎えてくれました。植樹地の前の原町稲荷社、及び、山林に向けて安全と無事の祈願の後、準備・設営を行いました。

 

 7時30分から参加者の皆様の受付を開始しました。今回、駐車場として快く敷地を貸してくださった山路板金様に大変感謝しています。

 

 8時過ぎには植樹地で開会式をはじめました。司会は弊社品質管理部門の社員が担当してくれました。少し緊張の面持ちでしたが、大きな声でしっかりと司会をしてくれ、大変うれしく思いました。冒頭のご挨拶で、キハダ植樹の経緯、植樹地の鳥居峠について、そして今年からの新たな取り組みである混交林の植樹についてご紹介しました。(混交林の植樹についての詳細は生薬ブログ5月号参照)また木祖村の副村長渡辺孝様に、ご来賓ご挨拶として、木祖村へようこそ、と参加者の皆様を温かくお迎えいただき、村のご紹介をしていただきました。そして参加者全員のお名前を読み上げ班分けをご紹介しました。

 

 そして、8時30分過ぎに、いよいよ、植樹を開始しました。

 

 初めての植樹の方もいらっしゃるため、5班に分かれ、最初に班ごとに木曽山林協会様、長野県地域振興局林務課様の専門家の方々に、苗木の植樹法のご指導をしていただきました。混交林の植樹では「パッチワーク状混植の試行」を行うため、このご説明も行いました。参加者の皆様は、真剣な表情でご指導内容を聞き、各々の場所で植樹を開始いただきました。

 

 植樹ではまず、苗木の根の長さより深い穴を掘る必要があります。その後、根を穴に入れ、土をかぶせ、足で踏んで苗木周辺の土を固めます。最後に枯草や枝などをその上に布団のように乗せて、目印の竹棒を差して完了、です。1本植えるだけでも大変な重労働です。しかし参加者の皆さまは、本当に懸命に黙々と作業に取り組んでいただきました。作業中「どうですか?」とお聞きすると「大変だけど面白い」「無事に大きくなぁれと声をかけながら植えている」など、素敵なお答えを沢山いただきました。

 

 また、驚いたのは2歳と4歳の小さなお子さんが懸命に植樹に取り組んでくれたことです。重たいくわを両手で持ちあげ、穴を掘り、苗木を丁寧に植えてくれました。お母さんにお聞きすると「そろそろお休みする?と聞いても、まだ、と言って、集中して穴を掘っているんですよ」ということでした。木祖村に住むお子さんたちです。源流の森を守り、未来につないでくれるかもしれない子ども達が、こんなに頑張って植えてくれたこと、本当にうれしく思いました。

 

 事前の計画では、12時までを予定していましたが、10時30分には全ての苗木の植樹が終了しました。参加者の皆さまが、本当に懸命に植樹に取り組んでくださったお陰です。

 

 閉会式では、木曽山林協会松原秀幸事務局長より、植樹地の周りに生育している樹種について、その場でご説明をしていただきました。実は、植樹作業が早く終わりそうだったため、急遽お願いしたものです。しかし、あっという間に、色々な木の枝を準備して、とても楽しくユーモアに富んだご説明をしてくださいました。タラ、コシアブラ、カエデなど、見分け方を含め教えていただき、大変勉強になりました。

 

 植樹が終わり、木陰で休む皆さまは、とても充実した、良いお顔をされていました。何か、同じ時を過ごした連帯感のようなものがその場に広がり、全体をきらきらとした温かな空気が包んでいるようでした。

 植樹はまさに、苗木の成長の始まりに、人が手を下す作業です。参加いただいた皆様と、命の始まりを見届けたような、森林の始まりに伴走させてもらったような気持ちがしました。ああ、こうやって皆様に植樹いただいた苗木ならば、きっと大きく育つに違いない、と感じました。

 参加者の皆様が、口々に「楽しかった」「初めて植樹したが貴重な体験だった」「また来たい」「来年も必ず来ます」とおっしゃってくださったことも、とてもうれしいことでした。安全・無事に植樹ができたことに、何よりもほっとし、感謝の気持ちで一杯となりました。

    

 弊社のキハダ植樹は、生薬原料として収穫するために行っています。しかし、良質なキハダの生育を実現したい、更には、天然林に近い森づくりを実現したいという目標を含め、全てを同時に実現できないかと考えています。これは大きなチャレンジです。この後、苗木の成長する様子を見守りながら、試行錯誤を繰り返していきたいと考えています。

 

 最後になりますが、今回ご参加いただきました多くの皆様、開催のためご支援・ご協力いただきました多くの方々に改めて心から感謝申し上げます。

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