縁(えにし)

2023年6月

hino_blog_210713_narai.jpg(2023年6月)

 奈良井は木曽地域の中で標高が一番高いので五月上旬までは寒く感じる日が続きますが、その後は少しずつ暖かくなっています。

 今年も奈良井宿の直営店でお客様の応対をしています。今年は全国各地の観光客だけでなく、海外からの観光客が奈良井宿を訪れて景観を楽しみながら歩いています。中には直営店で買い物をする海外からの観光客がいます。

 島崎藤村の「夜明け前」の中で「木曽路はすべて山の中である。」と記述しているように奈良井宿は山に囲まれ、奈良井川が流れていて、江戸時代の街並みの面影を残しています。

 奈良井宿は弊社のある隣村の薮原宿と同様に中山道木曽十一宿の中では最も標高が高く、難所の鳥居峠を控え、多くの旅人で栄え、「奈良井千軒」と謳われました。

 奈良井宿には宗派の異なる五つの寺があります。大きな宿場の割に旅籠が少ないことから大名行列の宿房の役も果たしていたようです。

 奈良井宿は江戸時代の建築様式をとどめているので、昭和五十三年(一九七八年)に国から重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けました。奈良井宿の各家は表二階が一階より少し前になっている出梁作りで、各家々は連なって立っています。

 重要伝統的建造物群に選定されてから四十五年経ちましたが、修理修景がしっかり行われてきたので、江戸の街並みを肌で感じることができます。奈良井宿の町並みは約一キロメートルあります。北から南に向かって下町、中町、上町があります。中町には大名、旗本、幕府役人、勅使、公家などが宿泊した本陣跡があります。上町のはずれに鎮神社があり、そこから中山道屈指の難所と言われた鳥居峠に向かう登りの山道になります。鳥居峠に向かう途中には松尾芭蕉などの俳人・歌人の句碑や石仏が立っています。

 このように江戸時代の面影の残る町並みを散策したり、緑に囲まれた山道を歩くことができるので、奈良井宿を訪れる人が多いと思います。

 私は朝食後に奈良井宿の景色を楽しみながら散歩をしています。五つの散歩コースがあります。

一 奈良井川の流れを見ながら川沿いの道を歩きます。

二 鎮神社をお参りした後に奈良井宿が一望できるくるみ沢展望台まで歩きます。

三 奈良井店の近くにある神明宮に行きます。登り道なので足を鍛えることができます。その後近くにある奈良井義高墓地と大宝寺に行きます。

四 法然寺と奈良井氏居館跡のある場所に行きます。

五 奈良井駅の近くにある専念寺と八幡宮に行きます。杉並木を歩いていくと二百地蔵を見ることができます。

 弊社は昭和二十二年(一九四七年)七月に設立してから今年七十六周年を迎えます。長く継続できているのはお客様のおかげと感謝しております。

 今後もよろしくお願い申し上げます。

日野製薬株式会社

会長 井原 正登


日野製薬オンラインショップ