キハダ

2023年キハダ植樹

hino_blog_230502_kihada_planting_1.jpg(2023年キハダ植樹)

 2023年5月2日、日野製薬ではキハダ植樹を行いました。

  

 雲一つない青空のもと、キハダ苗木1000本を植樹しました。土地の所有者の方と素晴らしいご縁がつながり、本社から10分ほどの木曽の山林をお借りしました。長野県木曽地域振興局林務課、木祖村産業振興課、木曽山林協会、木曽森林組合をはじめとする行政・団体の皆様、信州大学農学部の先生と生徒の皆様、宮ノ越地域里山整備利用推進協議会の皆様、お取引先企業の方々他、本当に多くの方々にご協力いただき、キハダ植樹が無事にできましたこと、心から御礼申し上げます。

  

 前日の5月1日、キハダを育苗いただいた農場へ苗木の引き取りに伺いました。今年植樹するキハダ苗木は、弊社本社のキハダの「子ども」です。本社の敷地には樹齢40年から50年のキハダがあります。2021年の秋、キハダに沢山の実が生りました。その実を社員で収穫し、食堂で広げて乾かした後、2022年の冬、育苗家の方へお預けしました。その実から種を取り出し、2022年の春から畑に種を撒き、大切に育てていただきました。引き取ってきたキハダ苗木は大きく立派で、幹が太く、生命力にあふれていました。育苗家の方に感謝の気持ちで一杯になりました。まさに命は巡る、です。

 

 5月2日、弊社社員は6時半に本社に集合しました。早朝の光が差し、白から青に変わりゆく空には雲一つありませんでした。5月とはいえまだ肌寒く、車のフロントグラスには霜が降りていました。夜中は零度を下回っていたかもしれません。駐車場で朝礼を行い、キハダ苗木、あらかじめ木祖村役場からお借りしていた鍬とヘルメット、その他荷物を手分けして車に積み込み、皆で出発しました。7時過ぎには植樹地の山林近くの駐車場に到着しました。駐車場でご来賓やご出席者をお迎えするチームと山林内で準備するチームに分かれ、準備を進めました。そして7時半頃には続々とご来賓、ご出席者の皆様が到着されました。ご挨拶、受付を行い、山林内に移動いただきました。駐車場から5分ほど木々の間を登り、林道を歩くと、急に山林が開け、植樹地にたどり着きます。

  

 今回植樹をさせていただく山林は、宮ノ越地区にあり、個人の方が所有されている土地です。未来の百草・百草丸づくりのためなら、と快く貸してくださることとなりました。ご先祖代々の山林で、営林署に勤めていたおじい様が大切に管理されていた場所とのことです。ご自身も昔小学生の頃に、薪や炭焼きの炭を担いで降ろす手伝いをされた記憶があるとのことでした。山とともに暮らす、木曽の古くからの生活や日常の営みの息遣いがまだ感じられるような山林であり、本当に有難いご縁に巡り合えたことに心より感謝しています。今回、所有者のご夫妻も、キハダ植樹にご参加いただきました。

  

 8時から開会式を行いました。初めに弊社より今回の植樹の目的をお話しました。

  ・木曽の豊かな自然と風土の中でキハダを大切に育て、将来の百草、百草丸づくりに生かし、多くの方々の健康長寿にお役立ていただくため

・キハダの植樹から生育までの長年の年月を、木曽の森、土、水についての学びの期間ととらえ、情報の収集、蓄積、発信ならびに学習機会の提供に寄与するため

  

 そして、ご来賓を代表して二名の方々よりご挨拶をいただきました。長野県木曽地域振興局林務課千村広道課長より、日本の森林は少子高齢化が進んでいること、50年生の針葉樹が主伐期を迎えており「主伐再造林」を進めていく必要があること、そしてキハダは広葉樹の中でも特用林産物でありこの植樹と利活用を進めることの大切さについてお話していただきました。また信州大学農学部助教梅澤公二先生より、日頃生薬オウバクの有効成分ベルベリンを用いたご研究をラボ内でされていることをお話しいただきました。

  

 8時30分、植樹を開始しました。植樹地では、あらかじめ一部木々の伐倒、草刈り、および、目印の竹棒を1000本分刺す作業を実施いただいてありました。植樹は4つの班に分かれて実施しました。3つの班には植樹の経験がほぼない、または全くない参加者がいるため、各班に専門家の方についていただき、指導役をお願いしました。最初に専門家の方々より、植樹方法や鍬の使用について注意事項をご指導いただいた上で、植樹が始まりました。

  

 苗木を初めて見た信州大学の生徒さんから、「根っこが黄色だ!」との声が上がりました。キハダの根は、生薬オウバクである周皮を除いた樹皮と同じく、きれいな黄色をしています。上記の通り今回植樹するキハダは立派で、大きいものだと根っこの長さが30cmはあります。ということは30cmの穴を掘る必要があるということ。大変な重労働です。しかし皆さん懸命に作業に取り組んでくださいました。信州大学の生徒さんたちは、初めての植樹参加だそうで、最初こそ少し慣れない様子でしたが、すぐに要領を得られたようでした。そうなると穴を掘るスピードが違います。すごい速さで鍬を下ろして、穴を掘っては、苗木を植えて、を黙々と繰り返していただきました。また他の参加者の皆さんも、どんどん植樹していただきました。木は一度植えると、その場所を自ら動くことはできず、根を張り生きていくこととなります。最初の第一歩がとても大事です。その大切さを皆さんが共有いただいているように感じました。黙々と懸命に作業に取り組む皆さんの様子に心から有難く、胸が熱くなりました。

  

 作業を開始して1時間もすると、植樹した場所の竹棒にくくりつけたピンクや黄色のテープがひらひらと目立つようになりました。今回の植樹地は土がとてもフカフカしていて、植えやすいと皆さんがおっしゃっていただきました。確かに掘っても石などにはあまりあたりません。キハダ苗木が根をはりやすく良く育つのではないかとのことです。一方で他の植物もよく育つことを示します。この後下刈りなどの管理をしっかり行っていかなくてはならないと思いました。

 

 10時に笛がなり、休憩となりました。その場に座ってお茶を飲み、飴やチョコレートを食べました。所有者のご夫妻とお話をすると、先ほどまで山林をめぐって歩いて来られたとのこと。昔の懐かしい記憶が色々思い出された、でも途中イノシシに出会った、とお話してくださいました。子連れではなく一頭だけだったとのこと。ご無事で良かったです。10分後に再度笛が鳴り、植樹を再開しました。あともう少し、と皆で頑張って植樹しました。

  

 10分もすると「苗木まだある??」の声があちこちから上がりはじめあした。「まだあるよ」と苗木を渡しあいながら植樹を進め、とうとう「苗木ある??」「もうない!そっちは?」「もうないよ!」の声が響きました。そして10時半、植樹が終了しました。元々12時までの予定だったものが、1時間半も早く終わりました。こんなに早く終わったのは、皆さんが懸命に植樹に取り組んでいただいたことによるものです。感謝の気持ちで一杯となりました。そして皆で集まり、作業後の集合写真を撮影しました。開会式の時とは異なり、リラックスして達成感にあふれにこにこしている皆さんの表情が印象的でした。

  

 11時には皆で山林を下り始めました。元の駐車場でお昼をお配りし、解散しました。信州大学の生徒さんたちは、少し山林内に残りキノコなど見学されていました。今年も植樹が無事に終わったことが、本当に有難くほっとしました。そして植樹を通して巡り合えた多くの方々とのご縁が何よりうれしく弊社にとって貴重なものと感じました。皆様に心を込めて植えていただいたキハダは、必ず大きく育つものと信じています。今後、未来の百草、百草丸づくりに用いることができますように大切に見守っていきたいと思います。

  

hino_blog_230502_kihada_planting_2.jpg


日野製薬オンラインショップ