木曽の便り

ストラディバリウスの造形美

Nakazaw2.jpg(ストラディバリウスの造形美)

先日NHKテレビの「鑑賞マニュアル 美の壺」を見ていたら、バイオリンには次の3つの美の壺があるということでした。

  1. 「優雅な曲線が最高のボディを作る」
  2. 「fが表情を作る」
  3. 「名器に近づく模倣力」

この放映を見ていて、以前に聞いた、地元の上松町在住の中澤準一氏の講演を思い出しました。美の壺ではストラディバリウスの模倣が大切という話でしたが、中澤氏は27年かけて名工アントニオ・ストラディバリのバイオリン造形の秘密を解き明かし、模倣でなく、実際に作図する制作法を会得したのです。ストラディバリ没後250年祭がイタリアのクレモナで開かれたときにイタリアを訪れ、ストラディバリの墓碑の拓本をとって、ストラディバリが墓碑に残したバイオリン作図法の極意を解析したのです。その作図法の極意は「①1:2:√3の三角形の操作。この操作によって、自然と12箇所の黄金比(1:1.618)が得られる、②3箇所の基点を鋼の定規で曲線を描く」というたった2つということです。

Nakazaw1.jpg右の写真のバイオリンは中澤氏の教えを受けて70歳代後半の女性が製作したバイオリンです。中澤氏が実際に演奏して見せてくれましたが、すばらしい音色でした。中澤氏は小学校の教師だったときに、小学生にバイオリンを作らせ、演奏させて、子供たちに感動を与えたというすばらしい教師でした。

私のつたない理解では中澤氏の極意を伝えきれませんが、ストラディバリウスの美に惹かれ、独力でストラデイバリのバイオリン制作の極意を解明し、実際に制作し、演奏しているのには、ただ、脱帽するのみです。


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