木曽の便り

源流シンポジウム

Kisogenr.jpg(源流シンポジウム)

昨日、木祖村で第9回全国源流シンポジウムが開催されました。
全国から約1000名の参加者があり、会場の木祖小学校の体育館はぎっしり人で埋まりました。
12時半からオープニングコンサートで雅音人(がねっと)が歌声を披露しました。

澤頭実行委員長の挨拶があり、シンポジウムが始まりました。
作家の塩野米松先生の基調講演『木の文化と日本人の暮らし』の中で、前日に木祖村を回ったときに採取した葛(くず)を手にとって、かっては食材、布材として貴重な資源であった葛も、いまや繁茂して困る植物となっていることや、その他の実例を通して、やはり生活の中で使われなくなると、例えば、鍛冶屋のようにまず道具を作る人がいなくなり、制作することができなくなるか、保存活動をしても非常に高価なものになるというようなお話をされました。私も一昨年に木曽漆器の伝承について調査し、論文にまとめた中で、同様な主張を記述したことがある(「実際の設計第6巻 技術を伝える」 日刊工業新聞社)ので、共感を覚えました。
その後、東京大学名誉教授 高橋裕先生の基調提言 『上下流連携と源流再生』、源流地域の取り組み事例発表 、パネルディスカッション「源流の魅力は流域の宝」と、参加者にとって非常に満足のいく充実した内容が続きました。最後に木祖中学校の秋山生徒会長が「源流の里宣言」をして幕を閉じました。

当社創業者の日野文平名誉会長が木祖村長時代に味噌側ダムの建設にあって源流の保全の重要性と下流域の協力の必要性を説き、源流村長と呼ばれ、木祖村は「源流の里」と呼ばれるようになりました。パネルディスカッションのコーディネータの宮林茂幸先生が「源流と流域は運命共同体で一体化が必要」と結びましたが、名誉会長が蒔いた芽がこのよう実を結んだことは感無量です。

当社は名誉会長の志を継いで、シンポジウムに協力をいたしました。


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