木曽の便り
アロハ・スピリッツ
先日のユネスコ中部東ブロック大会でミュージシャンの琢磨夫妻が、ハワイの古代カヌーを再現した「ホクレア号」の日本への航海の支援活動に関する特別講演をされました。
古代式カヌー「ホクレア号」はポリネシア、ミクロネシアの人たちがカヌーを操って遠洋航海をしたということを信じない西洋人の疑問に答え、科学的に実証するために1974年に建造されました。ホクレア(Hokule'a)とはハワイ語で"幸せの星"という意味です。
ミクロネシアの伝統航海士マウ・ピアイルグ氏が一切機器を使わずに、星、波、風、雲、鳥などの自然の力を駆使したナビゲーションをして1976年にハワイからタヒチへ初航海をしました。その後、現在まで10万マイルを超える遠洋航海を行っています。今年の1月にハワイを出発して、4月に沖縄、最終寄港地横浜に6月に到着しました。
日本への航海を率いたのがナイノア・トンプソン氏で、ミクロネシアの伝統航海士マウ・ピアイルグ氏から自然を利用した伝統航海の技術を学んだそうです。トンプソン氏が日本に来て感じたのは、西洋化が進んだハワイでは忘れられているアロハスピリッツ(Aloha spirits)が日本にあるということです。アロハスピリッツのAlohaのそれぞれは以下の言葉の頭文字になっています。
Akhan: 優しさと思いやり
Lokahi: 調和
Olu'olu: 寛大さ
Ha'a Ha'a: 謙虚さ
Ahonui: 忍耐強さ
最近痛ましい事件が連日のように報道されていますが、アメリカ文明が浸透したハワイでアロハスピリッツが忘れかけていると同じように、日本の「敬と恥の心」が薄れてきていることに起因しているように思えます。子供たちに日本のよき伝統と風習を伝えていくように努力したいと存じています。