縁(えにし)

2005年10月

 朝夕はすっかり肌寒くなりましたが、まだ紅葉には早いようです。この通販のご案内が皆様のお手元に届くころには、木曽谷の木々が色づいていると思います。紅葉は気候に左右されるので、年によって時期や様相が違います。数年前に紅葉の真っ最中に雪が降り、赤や黄色に色づいた木々と白い雪のおりなす不思議な光景を目にしたことがあります。今年は目に鮮やかな紅葉を楽しむことができると期待しています。

 「百草」は木曽御嶽山の御嶽信仰の修験者がもたらしたといわれていますが、当社の創業者の日野屋は江戸時代に御嶽講社の定宿になっていた関係で、御嶽信仰の信者たちと交流がありました。その縁で今でも御嶽信仰の様々な神事にご招待いただき、伝統と格式のある式次第を間近にみることができ、真にありがたいと思っています。地域のお祭りになっている神事もあり、家族連れで参加している様子をみると、最近の乱れている世相もいつかは浄化されるのではないかと希望が持てます。これから寒くなってきますが、冷気の中でパーンパーンと響く拍手(かしわで)の音を聞くと厳粛な気分になります。余り力を入れている様子もないのに、何故あのように澄んで響く音を出せるのか不思議です。私も出せるようにと練習をしていますが、中々うまくいきません。

 一昨年のNHK大河ドラマで吉川英治の「宮本武蔵」が放映されましたが、武蔵が木曽路を旅している光景があったことを覚えている方もおられると思います。原作の中には「百草」を記述しているところが二箇所あります。「それよりは薮原の宿の一つ先に越して、奈良井に行くとよい。町の四ツ辻だからすぐ知れる所に奈良井の大蔵さんというて、お百草を薬にして卸している問屋がある。その大蔵さんにわけをいうて頼めば、この人はお役所と反対に、弱い者のいう事ほど、親切に聞いてくれるし、正しい事なら、人の為に身銭を切ってなんでもひき受けてくれるから―」、「お百草の卸問屋といえば、軒並みにある旅人相手の店の一つのようなものかと思ってきたところ、見れば、まるで想像を外れている。『お侍さん、ここが奈良井の大蔵さんのお宅でございますよ』案内してくれた熊の肝屋の丁稚は、なる程、側まで連れて来て貰わなければそれとも分かるまいと思われる―目の前の大家を指して、すぐ走り戻って行った。」吉川英治が木曽路を取材旅行したときに「百草」を知ったのか、それ以前から知っていたのか、いずれにしろ文豪吉川英治が「百草」を愛用していたのではないかと想像しています。

このように昔から飲み続けられてきた「百草」の効能を多くの人たちに知っていただき、セルフメディケーションのための薬として愛用いただけたらと願っています。

代表取締役 井原 正登