キハダプロジェクトを開始します

 信州木曽の自然の恵み、それを用いた健やかな暮らしと先人の思いを未来へ継承する取り組みとして、日野製薬株式会社は、2024年3月15日、「キハダプロジェクト」を開始します。

キハダプロジェクト概要

 日野製薬株式会社は、信州木曽に古くから伝わる百草、百草丸、普導丸をはじめとする生薬製剤を製造、販売しています。 これらの生薬製剤の主成分はミカン科の落葉高木キハダの周皮を除いた樹皮である生薬オウバクです。良質な薬づくりに良質なキハダは欠かすことができません。

 弊社の社業はキハダとともにあります。キハダの樹皮である生薬オウバクは勿論のこと、オウバク残渣、周皮、葉、実、材を含むキハダの全ての部分を大切に活用し、新たな製品・サービスをご提供することで、多くの皆様の健やかな暮らしに寄与していきたいと考えています。

 キハダの良さを活かし、使いきることで、新たな価値を創造し、多くの方の健やかな暮らしに寄与するための取り組みが、キハダプロジェクトです。キハダプロジェクトを通して、信州木曽の自然の恵み、それを用いた健やかな暮らしと先人の思いを未来へ継承することを目指します。

背景

 日野製薬株式会社は、信州木曽の地に古くから伝わる「百草(ひゃくそう)」、「百草丸(ひゃくそうがん)」、「普導丸(ふどうがん」をはじめとする生薬製剤を製造、販売しています。百草は、霊峰御嶽山の御霊薬(ごれいやく)とも称された胃腸薬で、その薬効から古くは万病に効く腹薬とされ、胃腸疾患に幅広く用いられてきました。この百草に複数の生薬を組み合わせ製剤化したのが百草丸、普導丸です。これらの生薬製剤の主成分は、ミカン科の落葉高木キハダの周皮を除いた樹皮である生薬オウバクです。これらの生薬製剤をつくり続け、未来へ継承するため、キハダは欠かせないものです。

 弊社の社業はキハダとともにあります。木曽の豊かな自然と風土の中でキハダを大切に育て、将来の薬づくりに生かし、多くの方々の健康長寿にお役立ていただきたいとの願いを込めて、キハダの植樹を行っています。またキハダが芽を出し、成長し、実をつけ、命を終えるまでの間、キハダの保育、実の収穫、皮むきなどを実施しています。キハダの命のめぐりに伴走し、多くの学びをいただきながら、日々の業務を実施しています。

 キハダの恵みをいただいて社業を営む私どもは、何よりキハダを大切にしなければなりません。薬づくりに用いる樹皮オウバクは勿論のこと、オウバク残渣、周皮、葉、実、材を含むキハダの全ての部分を余すところなく活用し、多くの方々の健やかな暮らしのお役に立ちたいと願っています。

 この願いを形として、キハダプロジェクトを開始します。キハダプロジェクトは、キハダの良さを活かし、使いきることで、新たな価値を創造し、多くの方々の健やかな暮らしに寄与することを目指す取り組みです。木曽には、豊かな森、土、水の恵み、そして自然の恵みに感謝し、大切にし、これらを用いて健やかに暮らす、古くからの人々の営みがあります。これらはいずれも先人が私どもに残してくれた大切な宝物です。木曽地域の自然と人々のお陰で、弊社は今日まで薬づくりを続けています。弊社ではキハダを大切にすることを通して、これらの宝物を次の世代へつないでいきたいと考えています。信州木曽の自然の恵み、それを用いた健やかな暮らしと先人の思いを未来へ継承するため、キハダプロジェクトを実施してまいります。

目的

 キハダプロジェクトの目的は「未来への継承」です。

 木曽には豊かな自然の恵み、そしてこれを用いて健やかに暮らす人々の営み、先人の知恵や経験、風土があります。日野製薬は木曽地域の自然と人々のお陰で、弊社は今日まで薬づくりを続けています。日野製薬の原点である胃腸薬の百草は、薬草の宝庫とも言われた木曽の自然の恵み、そして先人のお陰で現代まで伝わる生薬製剤と考えています。

 これらの大切なものを未来へ継承するため、キハダプロジェクトを実施します。

目標

・キハダプロジェクトのキックオフ:2024年9月まで
・キハダを用いた新たな製品の発売:2024年10月~

基本的な考え方

◎経営理念の実現を目指す
 キハダプロジェクトを通して、日野製薬の経営理念である
 ・健康寿命に寄与する良質な製品とサービスの提供
 ・社業を通して社会へ奉仕
 ・おもてなしの心で応対

 の実現を目指します。

◎キハダのライフサイクルに沿って活動する
 キハダプロジェクトにおいても、これまでと同様、キハダの命の巡りを大切にし、それに沿って活動を実施してまいります。

◎「伝統を守りながら新たな価値の創造」を追求する
 弊社は、キハダの樹皮である生薬オウバクを用いた薬づくりを通して、キハダの素晴らしさを日々実感しています。キハダの樹皮は、古くから胃腸薬や外用薬として幅広く利用され、その鮮明な黄色は染料としても用いられてきました。キハダの良さを学び、更に深掘りし、新たな価値の創造に結び付けていきたいと思います。「伝統を守りながら新たな価値を創造する」は弊社に伝わる創業の精神の一つであり、これを更に追求していきます。

◎キハダの和をつくる
 キハダプロジェクトにおける新たな製品・サービスは、多くの方々との協業によってつくり上げていきたいと考えています。日本全国に、素晴らしい考え方、技術、経験をお持ちの方々がいらっしゃいます。キハダの良さ、新たな可能性を、弊社の考えや経験の範囲に納めるべきではないと思っています。多くの方々と創意工夫を重ね、素晴らしいものを生み出し、世に届けていきたいと考えています。

◎人財を醸成する
 未来への継承を実現するのは人です。キハダプロジェクトを通して人財の醸成に取り組みます。木曽の自然の恵み、健やかな暮らし、そして先人の思いを未来へつなぐことに賛同し、ともに取り組み、切磋琢磨する仲間を増やしていきたいと思います。

以上

  

<用語集>
・キハダ:キハダはミカン科の落葉高木です。周皮を除いた樹皮が、鮮やかな黄色を呈していることが名前の由来とされています。
・オウバク:オウバクはキハダの周皮を除いた樹皮です。
・生薬:生薬とは、天然から得られる植物や動物の薬用とする部分、細胞内容物、分泌物、抽出物又は鉱物などです。
・生薬製剤:生薬製剤とは、自然の恵み「生薬」で作られた化学合成をしない薬です。日野製薬の百草、百草丸、普導丸は生薬製剤です。