生薬とともに
寒暖差不調
今年の夏はあんなに暑かったのに、ここ数日の朝の寒さに身体が驚き、何となく体調不良で、朝目が覚めてから起き上がるまでに時間がかかっていますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
この「寒暖差不調」はどこからやってくるのでしょうか。寒暖差に身体が順応せず、時には、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、気分不快、腰痛や関節痛、もっと激しくなると下痢や便秘まで伴ってしまいます。その症状は一定しているわけではなく、重くなったり、軽くなったり、違う症状が現れたり、引っ込んだりするのです。
東洋医学では、人の体を構成する基本的な要素は「気・血・水」だと考えています。気はエネルギー、血は体の中を流れる血液、水は体の中を流れる血液以外の液体を指します。どれかの成分が不足したり、停滞したりして、この3つの要素のバランスが崩れると体に不調が起きると考えています。
「気」とは?
「元気になる」「気が滅入る」など「気」の入った言葉を私たちは使っていますが、気は生きるために最も必要なエネルギーを意味しています。気には「先天の気」と「後天の気」があり、先天の気は生まれながらに持っている両親から受け継ぐもの。後天の気は生まれた後に補うもので、自然界のきれいな外気と毎日の食事から得られます。気は不足するとエネルギー不足になるため、体が疲れやすくなり、やる気が起こらなくなります(気虚)。気が滞ると、イライラしたり、ため息をつくようになったりします(気滞)。
「血」とは?
「血」には精神活動を充実させ、全身に栄養を運んで体を潤す働きがあります。血が十分に体に巡っていると、顔色は明るく、肌や髪の毛が潤い、体の動きも良くなり、精神が安定し、何事も前向きに取り組むことができます。血が不足すると栄養不足になり、乾燥肌になったり、めまいや目が疲れやすくなったりします(血虚)。血が滞っていると、顔色が悪く、目の下にクマができ、肩こりや腰痛が起きたり、手足が冷えたり、シミやあざができやすくなります(於血)。
「水」とは?
東洋医学で考える「水」は血液以外の唾液、汗、リンパ液などの水分を指します。水は体全体に水分を与えるため、肌、関節、臓腑が潤います。水は体の中の余分な熱を抑え、汗や尿として排出する働きもあります。水が不足すると乾燥するため、喉が渇いたり、肌荒れが起きたり、便秘になったりすることもあります(陰虚)。逆に水の流れが滞ると、むくんだり、下痢を起こしたり、鼻水がでたりすることもあります(水滞)。
水が不足する原因は食生活の乱れや食事や水分不足が考えられますが、働き過ぎや運動し過ぎが原因の場合もあります。水分のとり過ぎ、冷たいもの、甘い物、脂っこいもののとり過ぎが原因の場合もあります。
この「気・血・水」はとても重要で、現在の体の状態を(気虚)(気滞)(血虚)(於血)(陰虚)(水滞)の6つのタイプに分けて判断します。多くの人は1つのタイプだけでなく、複数のタイプに該当します。「気・血・水」のバランスが崩れると体に不調が起きて、病気になりやすいい状態になると考えられています。前回「冷え」について記述いたしましたが、東洋医学では冷えることが「気・血・水」の不足や滞りを招く大きな要因の一つと考えられています。(気虚)(気滞)(血虚)(於血)(陰虚)(水滞)の6つが「寒暖差不調」に大きくかかわっているということが言われています。
さて、当社が製造する生薬製剤の「普導丸(ふどうがん)」には体を温めてくれる生薬のトウキ末、センキュウ末、ケイヒ末、ショウキョウ末を配合しており、そこに胃腸の調子を整える生薬のオウバク末、ガジュツ末、胃腸を温めてくれるウイキョウ末を配合しています。検査で異常はなかったけれど、近頃の寒暖差に身体が順応できず、めまい、吐き気、気分不快、胃の不快感などの症状があるようでしたら、この「普導丸(ふどうがん)」を予防的に服用してみてください。
東洋医学では身体の不調は早めに養生をすることが何よりも大切と考えられています。
食生活を整え、過労や睡眠不足を避け、心身のリラックスを心がけ、小まめに水分を補給し、体操やウォーキングを生活に取り入れ、高齢者の場合はフレイルの予防や身体を冷やさないように心がけることも大切です。
出典・参考:Kampoful Life by クラシエの漢方「漢方の基礎知識3「気血水とは」」