縁(えにし)

2022年6月

hino_blog_enishi-1_202206.jpg(2022年6月)

今年も昨年と同様に例年とは異なる気候が続いています。5月に入っても寒い日がありましたが、中旬頃から暑く感じる日がありました。


 私は弊社の会長として様々な団体との交流活動をしています。

 五月十四日に御嶽教木曽本宮で開教百四十周年春季大祭があり、全国からお越しいただいた信者の方たちと木曽地域の人たちが参列しました。催行された神事は格調高く、感動しました。

 また日々充実して過ごせるように奈良井宿の直営店でお客様の応対をしています。

 島崎藤村の「夜明け前」の中で「木曽路はすべて山の中である。」と記述しているように奈良井宿は山に囲まれ、奈良井川が流れていて、江戸時代の街並みの面影を残しています。

 新型コロナの感染が拡大してからは観光客が減少し、海外からの観光客を見かけることがなくなりました。しかし、今年は昨年より観光客が増えていると感じています。五月連休には北海道、九州の遠隔地を含む全国各地からお越し下さったたくさんの観光客が奈良井宿の通りを歩いていました。

 奈良井宿は弊社のある隣村の薮原宿と同様に中山道木曽十一宿の中では最も標高が高く、難所の鳥居峠を控え、多くの旅人で栄え、「奈良井千軒」と謳われました。

 奈良井宿には宗派の異なる五つの寺があります。大きな宿場の割に旅籠が少ないことから大名行列の宿房の役も果たしていたようです。

 奈良井宿は江戸時代の建築様式をとどめているので、昭和五十三年(一九七八年)に国から重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けました。奈良井宿の各家は表二階が一階より少し前になっている出梁作りで、各家々は連なって立っています。

 重要伝統的建造物群に選定されてから四十四年経ちましたが、修理修景がしっかり行われてきたので、江戸の街並みを肌で感じることができます。奈良井宿の町並みは約一キロメートルあります。北から南に向かって下町、中町、上町があります。中町には大名、旗本、幕府役人、勅使、公家などが宿泊した本陣跡があります。上町のはずれに鎮神社があり、そこから中山道屈指の難所と言われた鳥居峠に向かう登りの山道になります。鳥居峠に向かう途中には松尾芭蕉などの俳人・歌人の句碑や石仏が立っています。

 鳥居峠からは西に御嶽山、東に木曽駒ケ岳をのぞむことができます。

 このように江戸時代の面影の残る町並みを散策したり、緑に囲まれた山道を歩くことができるので、奈良井宿を訪れる人が多いと思います。

 五月二十日に弊社のある木祖村の関係者、森林組合や近隣の方々の協力を得て、社員と共に薮原高原スキー場で九百本のキハダの植樹をしました。昨年から社業の未来を見据えて取り組みを始めた行事で昨年も同じ場所で植樹しました。更に、五月二十三日に木祖小学校の五、六年生と百二十本のキハダの植樹をしました。子供たちは良い体験をしたと思います。

 キハダは弊社の製造販売している百草、百草丸の主原料です。国内産のキハダを用いて伝統薬である百草、百草丸を作り続けていきたいと考えています。

 弊社は昭和二十二年(一九四七年)七月に設立してから今年七十五周年を迎えます。御嶽山噴火により御嶽山麓の直営店の売上大幅減少による苦難の年もありましたが、長く継続できているのはお客様のおかげと感謝しております。

 今後もよろしくお願い申し上げます。

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日野製薬株式会社
会長 井原 正登


日野製薬オンラインショップ