日々の出来事
由緒ある掛け軸
今年は零下十度以下の寒い日が続いていますが、御嶽信仰の信者の方々がに寒参りに沢山お出でになっています。
今朝9時ころから御嶽山麓にある弊社の里宮店と王滝店を行ったり来たりしながら、御嶽信仰の先達・信者の方々をお迎えしてお話をしたりしました。
昼頃、バスでお出でになった高針心願講の大鐘先生と信者の方々が王滝店に立ち寄られました。写真の大鐘先生を応接室にお迎えしてたところ、リュックの中から掛け軸が入った箱を取り出され。浅井先達が大切にされていた掛け軸を譲り受けられたということです。応接室の壁に飾っていただき、拝見させていただきました。色合いも鮮やかで、大切に保存されてきたことがうかがえます。
掛け軸の上部には御嶽蔵王大権現、八海山提頭羅神王、三笠山刀利天が描かれており、その右下に江戸時代に御嶽山王滝口を開闢された普寛行者が描かれています。その下に描かれているのは不動明王です。
ここに描かれている御嶽大神と普寛行者から、普寛行者の弟子の明岳院広山にゆかりの掛け軸と思われます。関東系の御嶽信仰ゆかりの掛け軸が愛知県にあったということは不思議です。
大鐘先生は、この後、王滝村の田近さんに、この掛軸の由来を確認してみるとおっしゃられていました。
田近さんと電話で話して、歴史的位置付けがだいぶ分かりました。
表装に尾張藩が江戸後期に使用していた葵の御紋が描かれていることと、浅井家に明治時代の名古屋城開場のときに、尾張藩の人から譲り受けたという言い伝えがあることから、尾張藩が所蔵していた掛け軸であるようです。普寛行者の最後の弟子の一心行者と縁の深かった盛心行者が一心行者の汚名を晴らすために、尾張藩の力を借り、尾張藩が御嶽信仰とつながりが深くなったという史実があるので、この掛け軸はその当時のもののようであり、尾張藩が御嶽信仰とつながりが深かったことの証拠となる貴重なものです。
思わぬことから歴史的に価値のある掛け軸を拝見でき、有難いことと思っています。