縁(えにし)
2008年6月
5月になって木々が芽吹いて目に鮮やかな新緑に包まれた御嶽山麓は、観光客、山菜採りにお出でになる方や春の大祭に参加される御嶽信仰の方々で賑わい始めます。御嶽山の頂上は厚く雪に覆われていますが、5月末にはヘリコプターで頂上に物資が運ばれて、登山客を迎える準備が始まります。毎年のことですが、この時期は心浮き立つ思いがいたします。
御嶽山の一合目から頂上までの登山道沿い、および、頂上周辺に貴重な史跡が沢山あり、御嶽神社には貴重な古文書や絵などが残っています。そのいくつかについては弊社の季刊誌「やまみち」の100号記念号の中で紹介いたしました。発行前に宮司に話を伺ったり、本を読んで由緒について調べたり、実際に現地に行って写真を撮ったりしました。そのときに経験したのは、どこにどんな史跡があるかを分かりやすく記述した案内書がないことと、現地に行っても標識がなく、探すのに手間取ったことです。この体験から、まず、御嶽山にはどんな史跡があるのかを明確にすることが必要だと考え、黒沢口と王滝口の御嶽神社の両宮司に依頼して歴史的に由緒ある史跡を認定していただきました。黒沢口登山道と頂上周辺に22史跡、王滝口登山道に16史跡の合計38史跡です。この中には頂上付近に宿泊しないと巡れない史跡がいくつかあり、まだ行ったことがない史跡があるので、いつか時間を取って訪れてみたいと考えています。地域に貢献する活動として、この38史跡の認知度の向上に取り組み、7月1日の御嶽山合同開山式にお披露目する予定でいます。