縁(えにし)

2019年10月

hino_blog_enishi_201911.jpg(2019年10月)

 今年は九月に入っても木曽とは思えないほど暑い日がありましたが、十月上旬には例年通りの気温となり、朝起きると肌寒く感じるようになりました。

 今年も七月二日に御嶽山の黒沢口登山道と王滝口登山道の整備を行いました。黒澤口の開会式で木曽町の原町長が来賓として挨拶され、噴火で壊れた二ノ池山荘を木曽町が新たに構築し、営業を開始したことと、七月一日に規制解除して剣が峰頂上まで登れるようにしたというお話がありました。黒沢口の登山道整備には約六〇名(林業大学校の学生二〇名)が参加しました。

 九合目まで整備作業をしながら登り、石室山荘での昼食休憩後、剣が峰頂上に行きました。

 頂上ヘ登る石段の横に御嶽山噴火災害の慰霊碑と噴火などが起こった時に逃げ込めるシェルターが設置されていました。

 八月一日に剣ヶ峰頂上にある御嶽神社奥社で、「遷座祭(せんざさい)」が行われました。

 遷座祭は三十年に一度、本殿を建て替えるお祭りです。前回の建て替えから三十年目は平成二九年でしたが、平成二十六年の噴火により立ち入り規制されていたため、建て替えができず延期されていました。

 八月一日朝六時に黒沢口六合目から登山を開始し、式典に間に合い参列することが出来た時には、大変うれしくほっとしました。目の覚めるような快晴の中、遷座祭が行われ、今後の展望の明るさを示すような一日となりました。

 話が変わりますが、二〇一二年に木曽らしい活動を通して東日本大震災の被災地の子供たちの心を癒し、元気づけることができないだろうかと考えていて、ふと数年前に聴いた中澤準一先生の楽器作りの講演を思い出し、中澤先生に相談したところ、バイオリン作りは三百時間かかるので、三十時間でできる楽器バンドーラの制作がよいというご提案をいただき、木祖村やぶはら高原こだまの森で中澤先生指導の下、木曽ユネスコ協会主催で、東日本大震災の被災地の子供たちを対象とした「楽器バンドーラの制作と演奏の実習会」を行うことにしました。四泊五日の実習会なので参加者が集まるか懸念しましたが、福島県のいわきユネスコ協会の協力を得て、この年は八名の小中学生と付添いの三名の父兄が参加しました。

 二〇一三年以降も東日本大震災の被災地の子供たちを対象とした「楽器バンドーラの制作と演奏の実習会」を夏休み期間に行ってきましたが、昨年からは木祖村観光協会主催で一般の人を対象とした有料の実習会を開催していただくことになりました。

 私も楽器バンドーラを制作し、演奏したいと思い、今年九月に開催された実習会に参加しました。地元ばかりでなく、県内外の十五名の参加者がありました。楽器の形状は自由であったので、私は当社が販売する「御嶽目薬」の容器の形状にしました。五日間の間に、設計図を描き、木材を切削加工し、組み立て、塗装をし、弦を張ります。仕事の都合でフルに参加できない日もありましたが、参加者の中の木工技術の専門家が効率の良いやり方を教えてくれたので、遅れを取り戻し完成することができました。中澤先生から演奏の仕方を教わり、参加者全員で合奏をしました。

 参加者がお互いに助け合ったり、休憩時間に話し合いをしたりして親睦を深めることができる実習会でした。今後参加者が集まって演奏会をする計画もあります。

 来年も実習会を開催する予定と聞いています。ご興味のある方は是非ご参加ください。      

  

                       日野製薬株式会社

                       会長 井原 正登


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