縁(えにし)

2018年5月

hino_blog_enishi_201806.jpg(2018年5月)

 今年は、天候の変動が激しく、四月に入ってから雪が降る日もありましたが、暖かい日が続き、例年より一週間早く桜が咲き始め、同じ頃にレンギョウなどの花が咲きました。

 最近日本を訪れる海外からの観光客が増えています。三月に浅草寺に行ったときに、歩くのが困難になるほどのたくさんの海外観光客が来ているのを見て、びっくりしました。木曽地域を訪れる海外観光客も増えています。奈良井宿と妻籠宿は江戸時代の面影が残っている重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、海外観光客を見かけることが多くなりました。中には中山道を歩き、鳥居峠を越えて奈良井宿に来る人もいます。奈良井から列車で松本方面に移動するときに、宿泊して奈良井駅から乗った欧米人やオーストラリア人と話すことがありますが、長期休暇を取って日本に来ているようで、奈良井宿については満足していました。これからの季節の木曽の自然の景色は中山道を歩く海外観光客の目を楽しませてくれると思います。

 木曽地域は人口減少と高齢化で、地域の活力が衰えつつありますが、海外観光客の増加により、活気ある地域になることを期待しています。

 このところの官庁関係者に対するマスコミの報道を見聞きするにつけ、自己自身を正し、知を致す「格物致知」という言葉の重要性を改めて思うようになりました。私も年を取ってきたためか、気が短くなり、感情のコントロールができなくなってきたという正さなければならないことがあります。

 正すために論語の九思がよりどころになると考えています。

 「孔子曰く、君子に九つの思いあり。視るには明を思い、聴くには聡を思い、色は温を思い、貌は恭を思い、言は忠を思い、事は敬を思い、疑は問いを思い、忿りは難を思い、得るを見ては義を思う。(季氏)」

 明治時代に偉大な経営者であった渋沢栄一氏は次のように解説しています。

 その項目は九つある。①視るときははっきり見たいと思い、②聴くときには細かく聞き取ろうと思う。これは私物や外物に邪魔されず、事物の真相・実体をつかもうと思っているからだ。

 また、③自分の顔色を温和にしようと思い、④姿形はうやうやしくなろうと思い、⑤言語は誠実であろうと思う。これは自分の内面を磨いて、外に表れるものを美しくしようと思っているからだ。

 また、⑥仕事をするには慎重にして、軽率にならないことを思い、⑦疑問があれば先生や友人に問うて、正しい解決をしようと思うことである。⑧怒りが生じたら、その一念がわれを忘れさせ、その結果への非難が父母にまで及ぶことを考え、⑨利益を獲得するときには、それが義にかなった手段・方法で得ようとしているものかどうかを考えて、取るべきは取り、取ってはいけないものは取らない。

 君子はこのように、すべての物事を慎重に思慮して、気を抜いてはならない。以上が君子が四六時中思慮すべき項目で、われわれもぜひとも学びたい教えである。(出典 渋沢栄一「論語」の読み方 三笠書房)

 久しぶりにこの書を取り出しましたが、孔子の教訓と渋沢氏の解説文には改めて教えられることが多いと感じました。若い時にその重要性を気付かなかった教訓もあると思うので、再度この書を熟読し、知るだけでなく行って(知行合一)、安穏無事な生活を送りたいと思っています。


日野製薬オンラインショップ